「幸福度世界一」のオランダ教育式が沖縄でも受けることができる

 

 沖縄にいながら、子どもの「幸福度世界一」と言われるオランダの教育を受けることができるオンラインホームルームがある。国として教育にコーチング手法が根付き、学力も幸福度も高いことで有名なオランダの「個に寄り添い、個を引き出すコーチング」の手法を取り入れているのだ。

 コーチングとは、「考える質問」を問いかけ、その対話を通してその人が秘めている魅力や可能性を引き出す、そして「目標達成の行動」をサポートしていく。現在ホームルームでは、オンラインツールを活用し、小学生が参加、学びを得ている。

 コーチングによって子ども達はどういう反応をするのか、コーチングの必要性など、ホームルームを運営するコーチングラボオキナワの金城円さん、譜久原あゆみさん、與古田まり子さんの3人のコーチに話を聞いた。

ホームルームを運営する3名のコーチ

オランダに学ぶ、コーチング式教育

 「コーチングを国として行い、子どもの幸福度世界一の世界ランキングで上位の成果を出すオランダの学校教育に着目した」と話すのはオランダ教育を研究する金城さん。

 これまで11年間教員を勤め、コーチングを併用していたが、約3年前、オランダの個に寄り添い、個を引き出すコーチングに出会い、「今までのコーチングとは全然違う」と衝撃を受けた。

 金城さんは、娘を連れてオランダへ視察に行き、コーチングの在り方と対話を肌で体感してきた。

数百年前のオランダ人の暮らしを実際に体感できるオランダの野外博物館
オランダの子どもたちとパンづくりを通しての触れ合い

 オランダ視察を振り返り、「オランダの現場では、コーチングが学校教育の中にあり、大人が子どもをできるようにさせるのではなく、子どもが自分でできたを積み重ねられるように、 先生が子どもの特性や資質、様子をしっかり洞察し、サポートやリードをしていて、その結果、自己肯定感が育まれている」という。

 続けて、「​コーチングを通して子どもたちが応援されている場所が、オランダの学校である。その在り方のエッセンスを取り入れることは沖縄の​学校教育でもできる。これを届ければ幸せにつながる教育になる」と自信が生まれたと話した。

教えるティーチングより、コーチングの対話型による教えない教育

 これまでの日本教育は、知識の伝授、ティーチングの比重が大きく、テストの解き方や方法論など答えを教える教育と言われ、テストの点数がいい子が頭が良く優秀と定義づけられていた。

 教育に携わって20年、コーチング歴15年の譜久原さんは、「これからは学習者中心の活動、コーチングの対話型で教えない教育が必要」という。さらに「自分で答えを考え、自己肯定感を与える教育。子どもの中から解を引き出し、ひとりひとりの個を認め、個に合わせたプロジェクト型ラーニングが必要」と話す。

 與古田さんは、沖縄県うるま市で生まれ育ちの元教員。結婚を機に3年前から韓国に移住した。2児の母で「沖縄を離れていても思いはいつも沖縄にある」といい、いつも思うのは「沖縄の子どもたちの未来」だという。 

 沖縄の現状に「貧困や育った環境による経済や心理的な理由から、子ども達が目の前の生活で、将来やりたいことや自らの可能性にフタをしてしまうことが気がかり。沖縄の子ども達は感性が豊かで、ポテンシャルが高くて、世界をフィールドにやっていける」と話す。

 「周りの環境が厳しくても良い、悪い、正解、不正解ではなく、全てひっくるめて尊い自分なんだというありのままの自分を受け入れる心のあり方や、信じて行動すればやりたいことができるんだと自らの可能性を開いていく心の在り方を育てられるようなアプローチができたら」といい、「コーチングはそういうアプローチで有効的」とコーチングの効果をあげた。

必要な質問をコーチが問いかけ、「個」を引き出す

 オンラインホームルームの参加者は、小学2年生(8歳)から小学5年生(11歳)の子ども達たち。約1時間で全員オンラインツールZoomを使って参加する。

 基本的な流れは、チェックイン、グランドルールの確認、コーチング、チェックアウト。

 グランドルールは「お互い応援し合あう」と「お互い認め合う」。この2つを守ることで、ホームルームは「安心安全の場」につながるのだという。

 コーチが「自分自身とおしゃべりをしよう」と伝え、コーチングがはじまった。

オンラインで参加者に話しかけるコーチの3名

 「今週は何色の自分だった?」子ども達に問いかけた。

 子ども達は、真剣に自分自身と対話して向き合う。対話したあとは「今週私は赤色だったよ。それはね、」と理由をシェアする。

 「来週は何色の自分になりたい?」コーチが問いかけた。

 女の子は「私は虹色になりたい」と答えた。「虹色っていろんな色があるでしょ、青色もあるし赤色も。いいこともあるし悪いこともある。それを全部ひっくるめて虹色になりたいんだ」と笑顔で答えた。

 参加した男の子の反応も面白い。「来週は何色でどういう形の自分になりたい?」と問いかけると、「燃えるような赤色で、刀になりたい」と答えた。

 「刀は横にやるとうまく切れないし、動かないけど、縦だとすごく切れる」 話を聞くと、「体育で走幅跳びがあって、うまくできなかった。来週は刀のように上から下にまっすぐいきたい」と言った。

 子ども達の反応は、様々である。進めていく中でどんどん子ども達の発言は活発になり、お互いに反応しあっていく。反応が起きる理由を「お互い個性があるからこそ」だという。

問いの質が変わるだけで、自ら行動できる人材へと育つ

 オンラインホームルームでは、やってみてふりかえり、またやってみてふりかえるのプロセスを大事にしている。そして、必ず最後には、目標の部分、ゴールの部分にフォーカスした問いがある。

 今も多くの教育現場で行われているティーチンングは答えがあり、やらされ感があったが、コーチは考える問いに対して答えをもっているわけではない。

 コーチングの「考える質問」を問いかけることで、自己認知が深まり、ひとりひとりに合った「目標達成の行動」につながっていく。コーチングによって、子ども達は、自ら考え、決断し、行動できる人材へと育つのだ。

 子ども達の考えや行動を促す問い、日常的に交わされる会話とは違う質問を投げかけられ、通常の学校での授業では引き出すことができない力をコーチングの力によって引き出すことができるのであろう。

 保護者の反応も面白い。「ひとりで育てなくていい。親と子の間のコーチングは私情が入るから難しいけど、こうやって人にお願いして行ってもらうことで、子どもの言語化を共有できることが嬉しい。親が指示しなくても子どもが自ら考え、1週間を過ごすことができるようになった。お母さん側も日々子どもの喜びのポイントを感じられて、1週間に1時間のこの時間がとても効果的に思う。そして本人も生き生きしている」といい、子どもにとっても保護者にとってもコーチの存在は大きいようだ。

不確かな時代だからこそ感じる、コーチングの必要性

譜久原さんは「コロナの影響によりICTの活用によって、休校中でも学びを止めない教育活動がより注目されている。沖縄のような離島などでも全ての子どもが生まれた環境や地域に左右されず、可能性を最大限発揮するための学びの場づくりが可能となってきている」と話す。

 與古田さんは「新型コロナウイルス拡大の影響で夏休みが短くなり、思いっきり遊ぶことも難しいかもしれない。不確かなことが多い見えない時代だからこそ、ますますコーチングのニーズを感じる。今、私は何を感じているのだろう、私はどうありたいんだろう、どうなりたいんだろう。どうしてそうなりたいんだろう。そして、そのためには何をする?全て自分自身と対話し、自分の思いに気づき受け止めることからはじまる。コーチングの和が広がっていってほしい」といい、「これからも多くの沖縄の学生にコーチングを届けたい」と語った。

 金城さんは「正解のない時代。正解、不正解に向き合うだけの教育ではなく、自ら問いを立て、自分なりの答えを見い出し、やってみる。そしてやってみたことを振り返り、軌道修正しながら正解に近づけていくことが大切だと感じていて、そのサイクルを安心安全の中、チャレンジできるチームや仕組みづくりを通して個を引き出す応援の輪を広げていきたい」と話した。

<オンラインホームルームおきなわ>

毎週末朝7:30〜8:30開催中

対象:沖縄県内在住の小、中、高生とその保護者

問い合わせ先:コーチングラボオキナワ

coachinglab.okinawa@gmail.com

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安里 三奈美

安里 三奈美

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ボリビア在住3年、1児の母。フリーライターとして観光や沖縄県系コミュニティーについてWEBや紙媒体で執筆、寄稿等を行う傍ら、家系図や家族史・自分史の制作会社の代表も務める。2011年に県系の若者をつなぐネットワークを構築、県系若者が集う大会を世界各地で開催。2015ミスうるま。著書に「刻まれた21cm」(文芸社)

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