海人の知恵を防災にも 被災者をキャンプで体験

 

 「キャンプ」と「海人文化」を通し、「防災」について学び考えるイベント「糸満海人防災キャンプ」が2月23日、糸満市の糸満海人工房・資料館で行われた。当日悪天候の中だったが市内外、県外から7家族21名の参加者が集まり、うち3家族は1泊泊まり込みで防災キャンプを行った。参加者らは市役所職員から防災に関しての説明を受けたり、火おこしやミーカガン作り(伝統的な水中めがね)の体験をしたりと様々なプログラムを行い、一日を通して防災や海人文化について学びを深めた。 

 楽しく学べる体験型防災訓練

 海人文化や歴史の保存・継承・資料収集などを行うNPO法人ハマスーキと、県民の防災力向上に取り組む一般社団法人災害プラットフォームおきなわが主催している。2020年から行っており、今回で4回目。沖縄本島最南端に位置する糸満市は、古くからの漁師町で、独特の文化習慣が色濃く残る地域だ。

 防災キャンプは、参加者が自らを「被災者」と想定してキャンプ生活をし、実際の避難生活を知り、防災意識を高める体験型の防災訓練のこと。「糸満海人防災キャンプ」ではさらに、海人が持つ知識が防災にも役立つという観点から、海人文化も同時に体験することができる、糸満ならではのプログラムとなっている。

焚火のようす(主催者提供)

被災時に役立つ「湯煎カレー」作りも

 11時から始まったイベントの最初に、糸満市役所防災危機管理課や災害プラットフォームおきなわから、糸満市が行っている防災の取り組みや、避難所・避難場所の現状について話があった。市内13の避難所の収容人数は、市人口の約13%しか収容できないこと、災害時には車や公園で生活する人も出てくることが予想されることなどを学んだ参加者からは時折、驚きの声が上がっていた。

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