海人の知恵を防災にも 被災者をキャンプで体験

 

 また、もし避難所に空きがあったとしても、ペットを飼っている人や小さな子どもがいる家庭は周りの人たちに気を遣い避難所を出たり、感染症の恐怖から避難所に入らない選択をしたりする人もいる。災害時、必ず避難所で生活できるわけではないことを想定しておくことが必要だ。

 参加者らはその後昼食、湯煎カレー作りに挑戦した。ポリ袋に材料を入れて湯煎で調理するため、災害時で十分なライフラインがなかったとしても、カセットコンロなどお湯を沸かせる環境さえあれば、1つの鍋で同時に調理ができ、貴重な水を何回でも使えるというメリットがある。

防災訓練だけでなく海人文化も体験

 糸満海人防災キャンプの醍醐味は、普通の防災キャンプでは味わえない海人文化に触れられるところにある。ミーカガン作りを伝承・制作する職人から直接説明を受け、子どもたちでも手軽に作れるキットを使って制作した。お土産として持ち帰ったミーカガンを子どもたちは「とても気に入ったようで、毎日装着してます」(保護者)と、海人文化を子どもたちの生活に残している。

ミーカガンの作り方を学ぶ子どもたち

 その他にも、材料を選び火床(火起こしの土台となる道具)の作り方から考える火おこし体験や、自分で起こした火での焼きマシュマロ作り、海水からの飲み水作りなど様々な体験を行った。当日は大雨と強風があったが逆に「防災日和」と捉え、柔軟にプログラム変更がされた。

 参加者からは「焚火競争やカレーライス作りなど、盛り沢山な内容に感激しました」「防災を考えるきっかけになりました」「子ども達も楽しかったようで、次回は泊りがけで参加したいです」との声が寄せられたといい、ただの防災訓練でなく大人も子どもも楽しめたイベントとして人気を集めた。

地域と連携しながら定期開催も視野

 県内各地で防災キャンプを実施する災害プラットフォームおきなわは、「主体となりプログラムを作るのはそれぞれの地域の人たちだ」という理念を持つ。

 ハマスーキの上原達彦さんが防災キャンプのことを知り、災害プラットフォームおきなわの会議に参加したのがそもそものきっかけだった。多様な人が団体に関わり、地域とつながる活動に心を動かされ「自分たちの団体でも、できることからやってみたい」と協働を申し出た。上原さんは「今後は要望があればより小さい地域ごとに防災キャンプを行い、地域と連携できる関係性を作っていきたい」と話し、今後も定期開催をしていく考えだ。

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川嵜 紋

投稿者記事一覧

福岡県出身、沖縄県糸満市に移住して8年目。
東京工芸大学写真学科卒業。フリーランスとして写真やデザイン、イラスト制作などを行う。
2020年第一子が生まれ、新米ママとして育児に仕事に奮闘中。

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