父設計の自宅バスケコートをレンタル 元3人制女子日本代表の伊集南さん

 
テープカットに臨む(左から)伊集南さんの母・美枝子さん、父・守良さん、伊集さん、近藤洋介=8月28日、沖縄県八重瀬町

 沖縄県の八重瀬町出身で、3人制バスケットボール(3×3)の元女子日本代表である伊集南さん(31)が、父・守良さん(64)が自ら設計した実家のバスケコートをレンタルする取り組みを始めた。国内各地でレンタルコート「ディーナゲッツ」を展開するインディペンデンス(近藤洋介社長)が管理し、利用者の練習や交流の場にする考え。8月28日、オープニングセレモニーに参加した伊集さんは、集まった地域の小学生に「この場所を使って、なりたい自分になってほしいです」と呼び掛けた。

「遊び場」から個人練習場に

 ”ミニ体育館”のような空間は、伊集さんの実家の一部屋である「プレールーム」。広さは8メートル×6.15メートルで、天井は2階まで吹き抜けで高さ約6メートルある。本格的なバスケゴールが壁に1基設置されており、床にはゴール下のペイントエリアを示す白線が引かれている。

トークショーで参加した子どもたちに語り掛ける伊集南さん(左)

 一級建築士で、元々バレーボール選手だった父・守良さんが「子どもの遊び場と、自分がバレーをできる場所が欲しかった」と自ら設計し、伊集さんが生まれた1990年に完成させた。小学生までは野球をやっていて、当時はボールをプレールームの壁に当てて練習していたという伊集さん。中学1年でバスケに転向すると、今度は守良さんが本格的なバスケゴールを設置してくれた。

 伊集さんは糸満高校時代までこのプレールームで個人スキルを磨き、強豪・筑波大学に進学。Wリーグ(女子日本リーグ)ではデンソーアイリスに所属し、1年目で新人賞を獲得するなど主力として活躍した。2020年に現役を引退し、現在は31歳という若さでWリーグの理事を務めている。

 小さい頃は友達がよくプレールームに集まり、一緒に遊んでいるのを両親が温かい目で見守っていたといい、伊集さんは「当時を思い出して、泣きそうになってます。実家を皆さんに還元できることを嬉しく思います」と話し、少し目を潤ませた。

「なりたい自分になって」

子どもたちに指導する伊集南さん(中央奥)

 レンタルコートの名称は「M.IJU BASKETBALL COURT」。ディーナゲッツグループとしては国内10店舗目、沖縄県内では3店舗目となる。伊集さんが大学進学後、長らく利用されていなかったたため、伊集さんが知人の近藤社長に「実家にコートがあるので、なんとかできませんか?」と相談し、今回の取り組みに繋がった。

 芝が敷かれた広い庭ではバーベキューが楽しめ、2階には寝泊まりができる部屋が2つある。練習や休暇を兼ねた宿泊施設としての利用も見込む。

 挨拶した近藤社長は「自分が育ったコートで世界を目指す子どもの力になりたい、という話をいただいたので、その力になろうと思いました」と取り組みを始めた理由を説明。その上で「このコートが新しい出会いの場、憩いの場になりますように」と祈念した。また、来年には宮古島市と石垣市にもディーナゲッツをオープンすることも報告した。

 オープニングを記念したバスケ教室では、伊集さんが地域の小学生11人に直接指導を実施。伊集さんは「人が成長していく上で大事なことは2つあります。1つ目は人との出会いの数。いろんな人の価値観を知ってください。もう1つは経験の数です。これらが多ければ多いほど、なりたい自分に近付くことができます。この場所がそのきっかけになればと願っています」と挨拶した。

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長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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