「もっと子どものことを考えて」 沖縄の貧困“悪化”にこだまする悲痛な声
- 2022/6/14
- 社会
全国よりも「長期間かつ深刻な影響」
また、学校生活を巡っては、コロナ感染拡大による緊急事態宣言やまん延防止等充填措置などで全国に比べて沖縄が長期間かつ深刻な影響を受けた可能性にも触れた。
「学校の授業がわからないと感じること」「イライラや不安を感じたり、気分が沈むこと」が増え、さらに「地域のクラブ活動や学校の部活動で活動する回数」が減ったと感じている子どもが、全国よりも沖縄の方が多いという結果が出ている。
こうした状況を踏まえて、考察ではこれまで子どもの貧困対策として推進してきたスクールソーシャルワーカーや支援員の配置拡大、児童館や居場所・無料塾などを含めた地域拠点の整備拡大などが、子どもたちの精神的なケアをしていくという面でウィズコロナ、アフターコロナの社会においても経済状況を問わず「有用」だと評価している。
厳しい世帯への援助を優先すべき
コロナが拍車を掛けた困窮の悪化は経済的な部分に留まらず、子どもに対して物を買ってあげられなかったり、学習環境を整えてあげられないことで保護者が抱く不安やフラストレーションも増大させた。
保護者から寄せられたコメントには、経済状況の厳しさに加えて将来への不安が強くにじんでいる。
「私は自営業(飲食業)です。昨年からの新型コロナの影響で収入がなくなりました。今年は協力金もあり家族が食べて行くことはできていますが、来年からの生活がとっても怖いです。税金は払わないといけないのでわかりますが、それによって、団地の家賃値上がり、 国保値上がり、奨学金はうけれない、母子手当、児童手当カット、来年の生活が本当に怖いです。今まで非課税世帯で協力金を受けとったから来年からはこうなります、では納得できません。助けてください。来年からどうやって生きていけばいいかわかりません」(0~17歳保護者)
調査についてのまとめでは、こうした保護者の経済的・精神的な支援について「保護者の気持ちに寄り添う支援が、福祉や教育の現場では求められているのであり、コロナ禍が継続する場合は、国や基礎自治体、民間団体等と協力しながら、こうした厳しい世帯への援助をまず優先して考えていく必要がある」と提言した。
こうした支援に早急に取り組みつつ、保護者と、そして何よりも子どもたちの声にきちんと耳を傾けることができる社会を目指さなければ、夢や将来の選択肢を自ら諦めざるを得ない子どもたちがこれからも多く生まれることになる。
「大人は夢を見つけることは大切だっていいます。なら、夢を叶える手伝いをすることも大人の役目じゃないんですか」(中2生徒)
こうした子どもたちの率直かつ的確な言葉は、この社会に生きる全ての「大人」に向けられている。先ずは受け止めて、自身の身の丈に応じて目の前の出来ることを考え続けていく必要があるだろう。
「沖縄子ども調査」の結果は沖縄県のWEBサイトで詳細を閲覧可能だ。
■関連リンク
☆沖縄子ども調査の結果について(沖縄県HP)
☆沖縄の「子どもの貧困問題」の背景とは これまでの対策を振り返る∥HUB沖縄
☆貧困率が“絶対”ではない 沖縄の「子どもの貧困」新たな指標の必要性とは∥HUB沖縄