厳かに恒久平和を祈る 旧海軍司令部壕慰霊祭
- 2022/6/15
- 社会
第52回旧海軍司令部壕慰霊祭が13日、沖縄県豊見城市の同「慰霊之塔」前で、厳かに執り行われた。約50人が出席し、同施設を管理運営する沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB・下地芳郎会長)の職員らが黙とうをささげて「沖縄戦」で戦没した御霊を追悼した。同司令部を指揮した大田實司令官の遺族を代表し、孫にあたる大田聡さん(61)も約3年ぶりに広島県から来沖して参列した。
沖縄戦末期に、大田司令官が海軍次官宛に打電した「沖縄県民斯ク戦ヘリ」の電文は、沖縄戦の激しさや県民の苦難、惨状を強く訴えるものとして、貴重な歴史資料に位置付けられている。この打電が終戦間近い沖縄戦の状況を本土に知らせる最後の電報となった。1945年6月13日、大田司令官の自決により同司令部の「旧海軍沖縄方面根拠地隊」は壊滅した。
毎年、慰霊祭には大田司令官の遺族や、近隣住民遺族ら多くの関係者が参列して戦没した御霊を追悼し、世界の恒久平和を祈る。今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年、一昨年に引き続き規模を大幅に縮小して、同施設を管理運営するOCVBの職員を中心に行った。
追悼の言葉で下地会長は「この壕で亡くなられた全ての御霊のご冥福をお祈りするとともに、人類普遍の願いである世界の恒久平和をこの壕から絶え間なく発信し続けることを固くお誓いする」と述べた。
遺族を代表して同慰霊祭に列席した孫の大田聡さんは献花、焼香の後、「ウクライナの問題もあり、平和というものを先ず考えなければならない。弱者の声なき声に寄り添うことは、私の住む広島同様、沖縄も同じだ」と話していた。
慰霊祭の模様は旧海軍司令部壕事業所(屋良朝治所長)のホームページでインターネットを通じて同時配信された。
(記事・写真 宮古毎日新聞)