貧困率が“絶対”ではない 沖縄の「子どもの貧困」新たな指標の必要性とは

 

民間を後押しする「経済政策」も不可欠

 —先にも所得について触れてましたが、貧困の解決は経済政策とは切り離せないですよね。

「そうです。収入・所得を上げなければならないのに、そもそも沖縄県は特に非正規雇用も多く、県内の会社自体でも儲けが少ない状況ですから。雇用についての施策は計画の途中から入れ込んだ経緯があります。しかし、民間企業を後押しするための行政施策は、なかなか難しいところがあるのも事実なんです。

 これはまさしく経済政策になるので、子どもの貧困関連の担当課だけでなく商工労働部とかとの連携なども必要になる話です。確かに雇用を増やす施策もあったのですが、費用対効果の面でもちょっと疑問のある結果のような気がします。

 給与を上げるインセンティブを作るためにも、一定の条件を満たした企業に税金や借入などを優遇する認証制度が有用だと思います。これは、沖縄県中小企業家同友会による沖縄県への政策提言でも提案してきました。目下、県において実現に向けて動き出しているようです」

 —今後を見据えた時、現在直面している課題としてどのようなことが挙げられますか。

「子ども食堂や居場所が以前よりも劇的に増えたことは悪いことではないと思います。しかし一方で、現場で子どもたちを相手にしている団体・組織と行政との連携は情報共有なども含めて不十分と言わざるを得ません

 対策の中で学校を『プラットフォーム』と位置付けているのですが、この部分は実は非常に難しい。変わりにくいという面も含めて、学校の“体質”というのは介入のハードルがもともと高いということがあります。

 教員の方々の負担も大きいですしね。スクールソーシャルワーカーの増員とシステム化は現状進んではいます。現在うるま市と糸満市が力を入れて取り組んでいるようですが、他はまだまだだと思います。

 これまでは施策として進学率や中退率とか数値化しやすい項目を指標とせざるを得ない部分もあったのは事実です。しかし今後は、先にも言ったように、機会の保障や成長発達に不利益がないかなどの数字では見えなかった実態を対策にきちんと入れ込んでいった上で、1つ1つの施策や支援の質を上げていくことが大切だと思います」

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真栄城 潤一

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1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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