過ごし方、チキン、長靴下…知ってるようでしらない本場クリスマスのあれこれ
- 2021/12/24
- 社会
今年もいよいよクリスマスが近づいて来た。
1年に一度の聖なる日、それぞれ特別な予定を立てていることだろう。ここ沖縄は戦後よりアメリカ文化の影響を強く受け続けてきているが、それでも欧米イベントのルーツまでは理解していないことが多い。
そこで今回は、クリスマスに関するアメリカと日本の違いをお届けしてみたいと思う。
欧米諸国のクリスマスとお正月
クリスマスはご存知のように、イエス・キリストが生まれてきたことを祝う日であり、クリスチャンにとって重要な日だ。本来は日本のようにワイワイとパーティーを楽しむだとか、カップルでロマンチックに過ごすという日ではない。家族揃って神に感謝を表す特別な日なのだ。
そのため欧米諸国では12月25日は祝日となり、学校、行政、軍人、企業、小売店までも休みとなる。そして家族や親戚との時間を最も大事にする。みなプレゼントを持ち寄り、子供達にとっては大人の数が多いほどプレゼントが多くなり喜ばれる。まるで日本のお年玉のようだ。
クリスマスカードも日本の年賀状と同じぐらい重要で、届いたカードはツリーに飾る。代わりにニューイヤーは友人や恋人と過ごし、派手に盛り上がる。ただ、翌日の2日からは平常通りだ。対して日本人はお正月こそ家族親戚の集まりを優先する。
日本と欧米のクリスマスと年末年始とはまるで逆の風習なので、彼らに対して気軽にクリスマスパーティーしようよ!などと誘うのは失礼にも当たりかねない、十分に気をつけよう。
クリスマスにはチキン!…ではない
クリスマスといえば、おおよその日本人が「ケンタッキーにしない?」と思ってしまうのではないだろうか。しかし、欧米では決して「クリスマス=チキン」ではない。
クリスマス=ターキー(七面鳥)、ハム、ローストビーフなのである。クリスマスにはチキンでしょ!と断言してしまうと苦笑いされてしまうのでご注意を。ではなぜ日本ではクリスマス=チキンという概念が出来上がったのか。実はここに、とある有名企業が絡む面白い裏話があった。
先ほどのセリフで出てきた大手ファストフードチェーン「ケンタッキー・フライド・チキン」は日本人の呼び方であり、諸外国では基本的に「KFC」と呼ばれる。
日本にアメリカ発のKFCが進出してきたのは1970年、時は日本高度経済成長期である。国際化の波も押し寄せ日本でクリスマスを過ごす外国人も増えてきていた。
そんな折のあるクリスマスシーズン、一人の外国人客がKFC青山店に来店してこう言ったという。「クリスマスパーティーのためにターキーを購入したいが日本ではどこにも売っていない。だから、フライドチキンで代用したい」。
ここでKFCスタッフは閃いた。日本でターキー文化が浸透していないことを逆手に取ってすぐさま大掛かりなクリスマスキャンペーンを展開。「クリスマスにはケンタッキーフライドチキンを!」というキャッチフレーズでチキンを売り出し、今に至るわけなのだ。(参照元:日本ケンタッキーフライドチキン株式会社)
今や日本ではもうクリスマスにはチキン、の方がスタンダードとなっており、KFCが新たな日本文化を作ったと言ってもいいのではないだろうか。
ちなみに沖縄におけるチキン愛は本土よりも熱い。お盆やお正月にもケンタッキーが爆売れするし、ファミチキの発祥も沖縄だ。さらにファミチキの売り上げも国内ダントツで沖縄が1位だとか。
それからチキンの丸焼きが店頭でグルグル回っている光景もウチナーンチュにはなじみ深いだろう。しかしこちらも実は沖縄独特の文化なのだ。その背景には移民が大きく関わっていた。
戦前戦後、より良い生活を求め沖縄からハワイや南米に数多くの人が移民した。中には現地で成功を収めた人もいれば、海外生活を終え沖縄に戻ってきて商売をする人もいた。
この沖縄に戻って来た人の中に、南米特有のガーリックチキンのレシピを習得し県内でお店をオープンした方が結構いたのだ。それが今でも街中で見かけるチキン丸焼きのルーツだ。よって県内各地にある店舗は同系列ではなく、それぞれの店に秘伝のレシピがあり、店によって味も大きく違っているのだという。