完成間近!琉球漆器のストリートピアノ!600年の伝統を乗せて

 

 沖縄の伝統工芸のひとつ、琉球漆器は中国から技法や原材料が持ち込まれ、14世紀ごろからその歴史が始まったとされる。漆を乾かすために必要な高温多湿の環境、デイゴやセンダンといった漆器に適した木材にも恵まれたことから独自の発展を遂げてきた。その職人たちが、業界や街の活性化に一役買おうと、琉球漆器の技法を生かしたストリートピアノの制作に取り組んでいる。完成間近で、クリスマスイブのコンサート開催を目標にしている。

保育所のピアノを華麗に再生 那覇の市蝶や市花も表現

 国際通りに面した那覇市伝統工芸館の一室に置かれたピアノ。市内の大道保育所(旧松川保育所)で、半世紀近く子どもたちの成長を音色で育んできた年代物だ。工芸館職員が譲り受け、那覇市制100周年の記念事業として”琉球漆器の技法でストリートピアノ制作”というアイデアで応募したところ、見事補助されることになった。琉球漆器事業協同組合の上原昭男(うえはら あきお)前代表理事をリーダーとして、伝統工芸館の体験工房で講師も務める3人の匠たちが4月からピアノ再生の作業を進めている。 

琉球漆器の匠たち。左から伊集守輝さん、森長武一さん、後間義雄さん(提供)

 その1人、伊集守輝(いじゅ もりき)さんは、木の枝に戯れる那覇の“市蝶”オオゴマダラを表現しようと、貝(今回はホタテ)を摺って艶やかな色合いを生む「螺鈿(らでん)」、そして漆に顔料を混ぜた彩漆(いろうるし)をさまざまな文様にしてはり付ける「堆錦(ついきん)」の技法を交え作業に当たっている。「せっかくの機会なので伝統的なものだけでなく 自分の技術をプラスして、メロディーを見た目にも感じさせる軽やかな雰囲気を出したい」と目を輝かせる。 

 ”市花”ブーゲンビレアを堆錦で飾ったのは、後間義雄(こしま よしお)さん。鮮やかでいて、花も葉も色の濃淡で美しく仕上がった陰影が印象的だ。「(椀などに比べ)こんな大きなものは普通作る機会があまりないが、特別にいろいろ組み合わせをして仕上げた」とチャレンジへの手応えを語った。

 また、これらの装飾のためには下地となるピアノ表面のケアが重要となる。森長武一(もりなが たけいち)さんが縁の下の力持ちとなって磨きを主に担当した。「傷ついていた部分も漆で埋めるなどした。磨きをきれいに仕上げていかないと加飾した部分が映えないし、曇ってしまう」と話す。

琉球漆器に、街に、活気を

螺鈿が施された重箱 18世紀 東京国立博物館蔵(Wikipediaより)

 椀や飾り物だけでなくピアノまで、漆器の技法はさまざまなものに応用できる。この再生プロジェクトには琉球漆器とその技をこれからも伝えていきたいという職人たちの思いがにじむ。高い技術と手作業でうまれる漆器は沖縄土産や装飾品として人気が高まり、バブル期の1980年代には6社・380人が携わる産業となった。しかしその後の景気低迷、後継者不足、さらに新型コロナによる影響も受け、今では個人工房を中心に多くても40人ほどという。そう話した上原昭男さんが代表理事を務めていた琉球漆器事業協同組合も、休業状態だ。何とか魅力をPRし、知ってもらいたい。その思いがプロジェクト参加の原動力となっている。

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