那覇港に外来種「アルゼンチンアリ」確認2回目 管理組合が注意喚起
- 2022/11/18
- 社会
那覇港管理組合は17日、侵略的外来種であるアルゼンチンアリが那覇港公共国際コンテナターミナル内のコンテナヤードで確認されたと発表した。那覇港での確認は2回目。人を直接刺すなどの被害はないが、生態系への被害の恐れがあり、今後分布拡大が懸念されることから「外来種の早期発見、初期防除のため、関係者の方々の注意喚起へのご協力をお願いします」としている。
多種のアリ駆逐事例も 沖縄の重点予防種
南米原産のアルゼンチンアリは体長約2.5mmで、体色は淡黒褐色。多女王制で大きなコロニーを形成し、極めて繁殖力が強い。働きアリの活動温度帯は5~35℃で、女王アリの産卵能力は日に60卵。主に分巣によって分布を拡大する。
その競争力の高さから、侵入すると他の節足動物等が減少したり、多種のアリを駆逐したりする事例が国内外で報告されている。直接人に影響を及ぼすことはないというが、屋内で大量に発生すると電気系統が故障するなど日常生活に支障をきたす可能性がある。
国内では1993年に広島県廿日市市で初めて侵入が確認されて以降、各地で確認されており、交易に伴い積荷や鉢植えなどの物資にくっついて分布を拡大したと考えられている。2005年に日本の特定外来生物に指定され、沖縄では刺されると激しい痛みが生じる毒の針を持つヒアリと同様に重点予防種とされ、県内への侵入を最も警戒している種類の一つとなっている。
現時点で営巣なし 早期発見を
那覇港管理組合ではヒアリの侵入監視のために2017年度から年1回コンテナヤード内で調査を実施しており、アルゼンチンアリにおいては2019年に1個体が確認されたのが初の事例。10月27日に行った今回の調査では、採集したサンプルから50個体程度のアルゼンチンアリが確認された。
一方、今回確認された場所での営巣はなく、拡散の恐れはないという。現時点においては県内で那覇港以外で確認もされていない。ただ物流を通じた拡散が今度も懸念されることから、同組合は「ヒアリなどその他の侵略的な外来アリ類の監視と併せ、関係機関と連携して早期発見、初期防除に努めてまいります」とコメントした。
今回の件に関しては、環境省沖縄奄美自然環境事務所、沖縄科学技術大学院大学(OIST)、沖縄総合事務局、沖縄県などと情報共有し、連携して対応していくという。