沖縄をソーシャルビジネスの島に 世界に類を見ない目標へ加速

 

 社会課題をビジネスで解決する「ソーシャルビジネス」を活発化させようという動きが、沖縄県内で加速している。株式会社よしもとラフ&ピース(那覇市、和泉かな社長)と株式会社うむさんラボ(うるま市、比屋根隆代表)が主体となって今年から取り組むプロジェクト「島ぜんぶでうむさんラブ」(以下、島ラブ)では、県内の社会起業家の支援を通して沖縄の「ソーシャルビジネスアイランド」化を目指している。4月16日には、沖縄国際映画祭の一環で、プロジェクト参加者がビジネスアイデアを発表する「島ラブ祭2022」が那覇市の琉球新報ホールで行われた。挑戦を続ける参加者の熱い思いに涙ぐむ観客もいた。

ソーシャルビジネスとは

 ソーシャルビジネスは、貧困、教育、環境などの社会問題の解決を第一の目的にしたビジネスモデルのことで、利潤を追求する従来型の企業とは異なる行動軸を持つ。収益を生み、事業継続のための資金を自ら確保していくことから、NPOやボランティアとも一線を画す。

 2006年にノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏が提唱する「ユヌス・ソーシャルビジネス」には、以下の7つの原則がある。

  1. 利益の最大化ではなく、社会問題の解決を目指す
  2. 経済的な持続可能性の実現
  3. 投資家は投資額以上の配当を受け取らない
  4. 利益は社員の福利厚生やさらなるソーシャルビジネスなどに再投資
  5. ジェンダーと環境への配慮
  6. 社員にとって良い労働環境
  7. 楽しみながら

 株式会社よしもとラフ&ピースの母体となる吉本興業株式会社は2018年に、ユヌス氏と提携して「ユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社(yySA)」を設立するなど、同氏が提唱するソーシャルビジネスの普及に努めている。

さまざまな角度の社会課題解決

 ソーシャルビジネスの実現に取り組むプロジェクト参加者の思いはさまざまだ。島ラブ参加者は1月から4カ月間、メンターからのアドバイスや参加者同士の意見交換などを通じて、ビジネスや課題解決の形をより具体化してきた。

 保育士不足を解消するために保育士試験受験をeラーニングでサポートする「虹の根っこ」、農家の多様な収益モデルを生み出す大学生ベンチャー「OrgaNect合同会社」、ひっつき虫とも呼ばれ雑草として扱われているセンダングサの高栄養価に着目し、人々の健康に寄与する「株式会社さし草屋」など、14組が発表会の舞台に立った。司会は、ガレッジセールの2人と、ハイビスカスパーティーのちあきが務めた。

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