沖縄をソーシャルビジネスの島に 世界に類を見ない目標へ加速

 

沖縄のエネルギー自給率「2.7%」を解決へ

 沖縄のエネルギー自給率の向上を目指す取り組みを進める「エネルギーラボ沖縄」の宮城康智さんは、「エネルギーの地産地消の実現に挑戦します」と高らかに言い切った。発電をするための燃料や自然エネルギーなどを様々な観点からみたエネルギー自給率は、沖縄が2.7%で全国でも最低レベル。自治体、企業、個人が連動しながらエネルギー自給率向上につながる取り組みを進めている。

 エネルギー自給率が低いと、エネルギー供給が外的要因に左右され、資源供給国や交通の要所にあるような地域での政変や経済危機、紛争や自然災害などにより沖縄で電力がつくれなくなる懸念もある。

「地域の田んぼで作った米を食べるように、家庭菜園で作った野菜を食べるように、地域の中のエネルギーを作っていきたいです」と宮城さんは宣言している。

ありんくりん・ひがりゅうたさんが抱き続けた思い

 島ラブには、よしもと沖縄所属の芸人も参加している。ありんくりんのひがりゅうたさんだ。自身が幼少期になかなか自分の本音ややりたいことを人に言えなかった経験や、お笑いを通して自身をありのままに表現することで人々を笑わせ、喜びを感じている経験から、子どもたち向けの「漫才ワークショップ」を発案。「自分の感情や気持ちを真っすぐ表現していいんだ」と思えるようなきっかけをつくる活動を始めている。

 発表では三線を使った漫談も盛り込み「なんでかねぇ沖縄、なんで遠慮するのかねぇ沖縄」と繰り返し「同級生との飲み会で唐揚げを頼みました。僕は最後の一つが食べきれませんでした。なんかちょっと遠慮していました。みんなも遠慮している顔。このまま時が過ぎれば良いのになぁと思ってしまいました」と、日常のあるあるネタで、なかなか自分が出せないもどかしさを描いた。

 ひがさんは「沖縄を日本一の島にしたい。『ありのままの自分を大切にする』ということで。自分を大切にして他人を大切にするウチナーンチュ(沖縄の人)がたくさん増えたらうれしいです」と、一人一人の心に訴えかけた。

「沖縄をソーシャルビジネスアイランドに」

 島ラブは来年以降もどんどん続く計画で、1年目はソーシャルビジネスへの興味関心を喚起する年と位置付けている。年を重ねるごとに起業家や支援者のつながり拡大や県内外・海外でのノウハウ共有を目指し、4年目以降には「社会課題と向き合うことが当たり前となる沖縄県に」との目標を据える。沖縄が「ソーシャルビジネスアイランド」になることで、世界に類を見ない新たなソフトパワー発信地になれるか。注目していきたい。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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