復帰50年に沖縄県産米の泡盛醸造 忠孝酒造大城社長「泡盛業界の復帰は終わっていない」

 

 米軍統治下から日本に復帰した後も、泡盛業界の苦境は変わらなかった。成長を続けていていてなおかつ商圏の大きい県外の日本酒や焼酎メーカーに売上で押されていたからだ。

「戦後の日本は高度成長に沸いていました。ちょうど沖縄の泡盛業界がウイスキーにやられていた時代です。その中で、日本はウイスキーの関税を高くして国内の焼酎メーカーや日本酒を守ってきました。我々泡盛メーカーがウイスキーと戦って“生き残ってきた”のに比べて、焼酎や日本酒のメーカーは“守られながら成長してきた”という違いがあります」

 実際に、焼酎メーカーは黒霧島などを生産販売する霧島酒造株式会社(宮崎県)や、いいちこなどで知られる三和酒類株式会社(大分県)は、泡盛全体と比べても1社だけでその出荷量や売り上げを凌駕する存在だ。

 日本の経済成長の波に初めから乗れなかった沖縄。復帰に伴い制定され、県内の酒造メーカーも対象となった沖縄振興特別措置法は、沖縄県内での酒類販売時について軽減税率が適用されるというもので、より大きな市場を求めて県外に飛び出そうとする際には不十分だった。

目指す泡盛の市場拡大

 大城社長は泡盛の県外展開について、力を込めてこう語る。

「沖縄県の経済市場は日本の1%です。その沖縄が泡盛の出荷先の7割程度で、県外は3割以下です。市場規模を考えると、この比率が逆にならないといけません」

 復帰50年。沖縄の泡盛は文化と共に土地の香りを届け、羽ばたこうとしている。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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