ウィズコロナ沖縄観光新時代 鍵を握るのは「高齢者と障がい者」

 
「バリアフリーネットワーク会議」の親川修理事長

 ウィズコロナ社会に突入し、昨年と比べて少しずつ観光客の賑わいを取り戻しつつある沖縄。観光市場が高齢社会の日本国内にシフトし、ターゲットの転換が求められている中で、沖縄は高齢者にとって「優しくて楽しい観光地」になりえているのか。“夏のビーチリゾート”とはまた違う新観光時代が訪れている。

 障がいのある人々や高齢者など、手助けを必要とする人々を包括的に支援する「バリアフリーネットワーク会議」の親川修理事長は「高齢者に多く来てもらえる沖縄を作ることが、観光の多様性に対応できる素地となる」と、将来的な観光回復に向けた好機と捉える。また、視覚障がい者の目線を通した時に知れる“目からウロコ”の沖縄の楽しみ方が、旅行コンテンツの再発見につながる例も紹介する。

沖縄観光は回復基調

 バリアフリーネットワーク会議が那覇市内で運営する「しょうがい者・こうれい者観光案内所」。ここがゴールデンウィーク期間中に車イスを貸し出した合計のべ日数は、昨年の12日間から今年は53日間に4倍以上の増加を見せていることから、コロナ前の状況にはまだまだ及ばないながらも大幅な回復を示している。新型コロナ感染時の高リスクからこれまで旅行を控えていた高齢者が、少しずつ沖縄観光へと戻ってきていると言えるデータだ。

国内旅行の需要喚起は高齢者に

 今沖縄観光が目を向けるべき一つの層は、まさに高齢者だ。

 コロナ禍以前は海外からのインバウンド客が全体の観光客数を押し上げ、2019年にはハワイを抜いて年間1000万人以上が沖縄を訪れた。しかしコロナ社会で国際的な人の動きが制限されている現在、観光需要を喚起すべき対象は主に国内客となった。「国内人口の約30%は65歳以上の高齢者です。高齢者に訪れてもらえるような沖縄でないと観光客は戻ってきません」と親川さんは言い切る。

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