ウィズコロナ沖縄観光新時代 鍵を握るのは「高齢者と障がい者」

 

 高齢者に喜ばれる観光地であることは、沖縄にとっても少なくとも2つのメリットがある。

 一つは「観光シーズンの平準化」だ。沖縄観光は、海水浴が楽しめる夏にピークを迎え、若い人や家族連れでにぎわう。しかし、高齢者となると事情が違う。親川さんは「夏の沖縄って地獄のような暑さですよね(笑)。ですので、ご高齢の方は真夏ではなくて秋から冬にかけて沖縄に来ます。そういった方にぜひ来てもらうことで観光業も年間通して潤いますよね」

 もう一つは「多様なお客さんの受け入れ」だ。「高齢者にとっての“安心”をしっかりとしたコロナ対策で、“安全”をバリアフリーで実現できます。相手の立場に立って何が求められているのかと考えることで、今後戻ってくるであろう外国人観光客受け入れの際にも、その素地が活きてくるはずです」

子や孫と一緒に訪れる旅行先に

(イメージ写真)

 家族で旅行しようにも、同行者に面倒をかけるのではないかと気を遣って高齢者自身が遠慮するケースも少なくないという。「そんな時には一言『もしもの時には車イスがあるから大丈夫よ』と言ってあげれば気持ちが楽になるんですよ。“日常生活では歩けるけど、旅行となると移動が大変という方が多く、肉体的な限界を迎えているわけではありません。車いすで沖縄観光を楽しむ方は、地元では車イスを使っていない方がほとんどです」

 高齢者が楽しむことができて快適に過ごせる環境を作り出すことは、子や孫も含めた幅広い年齢層が一緒に訪れやすい旅行先となりうる。

 親川さんは「高齢者の方だって本当は家族と旅行に行きたいんです。いくつになっても好奇心は大切です。旅行は高齢者を元気にさせます。計画の段階からワクワクできて、あれこれと準備するでしょう。最初から『どうせ一緒に行けない』と諦めるのではなく、近場からでも積極的に旅行に連れ出してほしいです。行けなくなって後悔してしまう前に」と話す。「初日は車イスに乗っていたおじいさんが最終日には元気になって、自分で車イスを押して返却しに来ることもありますよ」

視覚障がい者が楽しむ沖縄観光の世界

 「どんな人にも楽しんでもらえる観光地」という視点からは、障がい者がどう沖縄を楽しんでいるかも大いに参考になる。例えば視覚障がい者の人は、目が見える人とは全く違う沖縄を楽しんでいる。

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