ボリビアで琉球&日本の本物の味を 開業の夢追う26歳修行中

 

沖縄調理師専門学校を卒業したボリビア出身の金城晃アレックスさん=那覇市の同校

 「沖縄で修行を重ねて、ボリビアで本格的な琉球料理、日本料理そしてボリビア料理も楽しめる店を持ちたい」と話すのは、金城晃アレックスさん(26)。ボリビアから来沖し、今年、沖縄調理師専門学校を卒業した。伝統的な琉球料理、日本料理を学び、お店の開業に向けて沖縄での修行を続けている。

ボリビア・オキナワ移住地で育つ

 父がボリビア人、母方の曾祖父母が沖縄県出身の晃さんは、幼少期の頃、曾祖母に作ってもらった卵焼きが美味しくて、その味を再現しようと作り始めたのが料理人を目指したきっかけだ。

 晃さんの曾祖父母は、琉球政府(当時)が米国統治下の1954年に始めたボリビア移民事業で、1961年に沖縄からボリビアへ移民。今では、海を渡ったウチナーンチュとその子孫ら約900人が、開拓地のオキナワ移住地「コロニア・オキナワ」で暮らしている。

 晃さんは、中学卒業までオキナワ移住地で育ち、同地区の小中学校「オキナワ第一日ボ学校」で日本語を学んだ。学校の授業やNHK連続テレビ小説「ちゅらさん」、祖母から聞く思い出話から沖縄への思いを深めていたと話す。

沖縄県費留学で来沖、琉球料理を学ぶ

 高校卒業後は、手に職をつけようと調理師の専門学校に進学。2015年には、専門学校を休学して沖縄県費留学生として初めて沖縄を訪れた。県費留学の「伝統芸能修得コース」で1年間、松本料理学院で琉球料理の歴史や料理を基礎から学んだ。

 

県費留学時代。松本料理学院の松本嘉代子学院長(中央)から琉球料理を学んだ

帰国後再来沖 本格的に腕を磨く

 留学から帰国した後は専門学校に復学し、卒業論文を書く傍ら日本料理レストランに就職した。卒業論文のテーマに選んだのは「サラリーマン向けの日本食デリバリーサービス」だ。卒業後はボリビアで調理師免許を取得した。

 その後、より腕を磨くためにもう一度日本で学ぶことを決意。日本財団の奨学金制度を活用し、2020年4月に沖縄調理師専門学校へ入学、22年3月に同学校を卒業した。

 調理師専門学校では、西洋料理、和食、琉球料理、和洋菓子、介護食の授業の他、調理技術や調理法の基礎から応用までを網羅したカリキュラム、学内外での多彩な特別講座で学びを深めることができた。晃さんは「ホテルの料理長の方々が教えに来てくださったりしてとても濃い2年間だった」と振り返る。

実習中の晃さん=沖縄調理師専門学校

 中でも、一番印象に残っているのは卒業制作だ。県費留学や学校で学んだことを形にして表したいと、琉球料理と和食を取り入れたメニュー『和琉折衷』を制作した。「前菜」「蒸し物」「造り」は和食。「琉球御膳」は、豚飯、どぅる天、味噌煮豚などを取り入れた。

卒業制作の『和琉折衷』メニュー、手前が琉球御膳

 晃さんは「レシピやコストなどは自身で決めないといけないのでとても不安だった。試作で上手くいかなかった品もあったが、先生方からの意見を踏まえた反省を元に本番を迎え、納得のいく出来栄えになった」と話す。

 「コロナの関係上、(来場者の)試食ができなかったことが唯一の心残り。会場に足を運んでくださった人々に『食べたかった、とても美味しそう』と言葉を頂いたのでとても嬉しかった。1からメニューを決め、コストを出して試作して本番をやり遂げた事実は変わらないので、とても良い経験になった。料理人としてすごく成長できた」と成長した嬉しさを誇らしげに話した。

40歳までにボリビアで開業目指す

 晃さんは6月から那覇市久米の「味と踊りの竜宮城うらしま」に就職する。晃さんの目標は、40歳までにボリビアでのお店開業だ。ボリビアでの琉球料理の発展・継承の活動も視野に入れており、食を通して自らのルーツをつないでいく。

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安里 三奈美

投稿者記事一覧

ボリビア在住5年、2児の母。フリーライターとして観光や沖縄県系コミュニティーについてWEBや紙媒体で執筆、寄稿等を行う傍ら、家系図や家族史・自分史の制作会社の代表も務める。2011年に県系の若者をつなぐネットワークを構築、県系若者が集う大会を世界各地で開催。2015ミスうるま。著書に「刻まれた21cm」(文芸社)

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