軽石って今どうなってる? 沖縄への漂着確認から半年
- 2022/4/19
- 社会
昨年8月に発生した小笠原諸島・福徳岡ノ場での海底火山噴火に由来するとみられる「軽石」が同年10月以降に沖縄県内の漁港や海岸に漂着した。青く透き通る海を一面覆い隠すほど大量に漂着した軽石は、ビジュアルのインパクトもさることながら、漁業や観光、離島住民の生活にも大きな影響を及ぼしたこともあり、全国メディアを賑わせた。
半年以上が経過した現在、大々的な報道はすっかりされなくなってしまったが、軽石は未だ県内各地で確認されている。その一方で、回収された軽石を利用する動きも多方面で広がってきている。
未だ県内港湾の9割に漂着
沖縄県が発表している港湾への軽石漂着状況によると、4月8日時点で漁業や離島航路に支障をきたす「大量に漂着有」としている港は本島北部の名護市と今帰仁村にまたがる運天港と、国頭村奥港の2ヶ所。一方で「少量漂着有り」としている港は36ヶ所で、県内41港湾のうちの9割近くで未だ軽石漂着が確認されているのが現状だ。
同じく県が発表している県内各漁業共同組合(36漁協)への聞き取りに基づいた漁船の被害状況については、4月7日までの時点で軽石を原因とするエンジントラブルが発生した船は計205隻に上っており、そのうち45隻が航行不能になるほどの被害を受けている。
利活用アイデアの模索は継続中
回収された膨大な量の軽石については、行政・民間問わず多方面で利活用の模索が続いている。
民間レベルでは独自の技術で塩分を除去して改良土を開発したり、琉球ガラスや焼き物の釉薬に取り入れたりするなど、様々な試みがなされている。SDGsの推進が是とされる現在、資源の再利用による循環という観点からすればこうした創意工夫は時流に合っている動きだと言えるのかもしれない。
県農林水産部は昨年11月の時点で軽石の農業利用について、塩類濃度が高いことから「土壌改良を目的とした農地への投入や利用は塩類集積による生育障害の懸念がある」として推奨はしていない。
一方で、県は民間企業や団体から軽石利用についてのアイデアを募集し、利活用推進につながるものを技術カタログと位置づけ、今年3月から「軽石利活用アイディア集」としてWEBで公開している。紹介されているのは41件(4月17日時点)。
「吸収剤を結合させて濾過材として陸上養殖などで利用」「赤土流出抑制用植物の土壌改良材」「建設発生土と混合した埋立用土」「屋根の断熱資材」といった建設土木での専門的な用途や、インテリアグッズの作成、自然科学用の教材といったシンプルな使いみちまで、さまざまなアイディアが並んでいる。
■関連リンク
☆軽石利活用アイディア集(沖縄県)
☆漂着軽石を赤土に混ぜてもレタス育つ 沖縄美ら島財団調査 ∥ HUB沖縄
☆軽石で沖縄の生物は?研究者「海洋ごみにも目を向ける契機に」 ∥ HUB沖縄