文化庁の文化芸術支援事業 沖縄の舞台関係者に聞く感謝と本音

 
多くの劇団が利用している小劇場「銘苅ベース」

 コロナ禍において、舞台に立つ者だけでなく舞台制作者をはじめ多くの裏方も仕事の機会を失った。

 対策として文化庁は昨年度、補正予算を使い、そのような文化芸術活動の自粛を余儀なくされた団体に対し、活動の充実支援事業「ARTS for the Future!」(以下、AFF)を立ち上げた。沖縄からも多くの団体が支援金に応募する中で、どのように活用され、舞台芸術の継続へつなげてきたのか。その一方で、申請が全国から1万件超も殺到し、事務局からの採択・不採択の通知が遅れたことで、支援を受ける側のスケジュールが立てにくくなったという改善点も見られた。沖縄で活動する劇団や伝統芸能の関係者に話を聞いた。

伝統芸能を中心に数多くの舞台イベントが行われる国立劇場おきなわ(同劇場インスタグラムより)

AFFがもたらしたメリット

 AFFを利用した芸術文化団体は、コロナ禍で活動の場や仕事が激減した舞台関係者の活動再始動につなげたり、支援金を活用して新たな舞台演出に挑戦することができた。

 沖縄での一例が、「女流組踊研究会めばな」だ。事務局長の金城佳子さんは「役者だけでなくスタッフもコロナの影響で仕事が多数キャンセルになっていたから、AFFのおかげで仕事が増えて喜ばれたし、会場に使わせてもらった結婚式場にも『結婚式が減ってホールは半年以上使っていなかったから使ってもらえて嬉しい』と喜ばれた。私たちも、やりたかったプロジェクションマッピングと伝統芸能のコラボをAFFの資金で実現することができた」という。

女流組踊研究会「めばな」事務局長 金城佳子さん

 切羽詰まった舞台芸術関係者の状況を考慮して、イベントや取り組みに合わせて支援金を使いやすくしていた点も現場からの評価が高かった。劇団劇艶おとな団の安和朝彦さんは劇団10周年の公演を申請したことに触れ、「多くの助成金の中には、費目の流用や内容の変更が認められないものもあるが、今回のAFFの場合は、事前に事務局へ相談して、とにかく無事に開催さえすれば多少の変更や費目の流用が認められたので、そういった柔軟な体制は良かった」とメリットを話す。

劇艶おとな団 安和朝彦さん

 劇団の15周年事業として2つの公演について申請した劇団チームスポットジャンブルのマネージャーである喜舎場梓さんは、AFFがフリーランスなど個人の申請は認めず、団体からの申請のみに絞ったことを、逆にこう読み解いた。「応募要項から“申請団体が出演者のみならず舞台のスタッフにも各所支払うことで、コロナ禍に苦しむフリーランスの救済にも繋げなさい”というメッセージに私は読めた」。その甲斐もあって、申請が通ったイベントについてはいつもよりも多くのスタッフを雇えたという。「普段よりも充実したスタッフ体制はしっかりと作り込んだ上質な舞台を見せられることに繋がった」と振り返る。

チームスポットジャンブルマネージャー 喜舎場梓さん

審査の遅れで開催に不安

 その一方で課題もあった。

 AFFは当初「採択・不採択の審査結果通知は6月中」と発表していたが、事務局の予想を上回る申請数だったため審査に時間を要し、審査終了は大幅に遅れて8月17日となった。そのことが結果として、舞台関係者のスケジュールや予算組みの見通しを難しくしてしまったという一面もあった。

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