文化庁の文化芸術支援事業 沖縄の舞台関係者に聞く感謝と本音

 

 チームスポットジャンブルの公演は9月と10月の予定だったが、採択通知が来たのは8月5日で、予算面の見通しが立たない中での公演準備だった。喜舎場さんは「採択されなくても上演しようとは決めていたが、不採択だった場合には最小限の経費でやるつもりだった。とりあえず稽古は先に進めておいて、チラシ作成など経費のかかるものはギリギリまで通知を待っていたので、宣伝開始が遅れて困った」と話す。コロナ禍の状況でも工夫を重ねながら活動をしなくてはならない。ただ、感染対策のため座席を1つ空けて販売すると、チケット収入が通常の半分しか得られない。助成金は文字通り命綱となる。

 金城さんも、経費面で悩んだという。

「採択されるのかされないのか、毎日ずっと返事を待ち続けていた。採択通知が来たのは、本番4日前だった。ただでさえこのコロナ禍でいつもよりお客さんも少ないのに舞台経費を予算通りにかけてしまったら、もし不採択になった時には赤字負担がかなり大きくなるのが怖くて、最低限の準備しか出来なかった。もっと早くに分かっていれば…」と悔しそうに振り返った。 

 安和さんは7月8日と11月13日に上演する計画で5月30日に申請し、採択通知が来たのは7月27日だった。つまり、7月公演が終わった後に通知が来たということになる。

 3名の話で共通するのは、審査結果の通知は6月中というAFFのスケジュールを信じて申請していたのに、採択通知が遅れたために、開催に不安や支障があったという点だった。AFFでは、公演を12月末までに終わらせることが条件だが、二次審査が全て終了したのが11月29日だったということは、おそらくイベント終了後に採択・不採択の通知が来た団体は少なくなかっただろうと思われる。

 それ以外にも、金城さんは「応募資格が厳しかった」と述べた。

 AFFの応募資格は”プロ団体”が前提であり、「過去10年で主催公演を開催した実績があればいいというが、伝統芸能の場合は『かりゆし芸能公演』のように、実質主催のような活動をしていても主催が別名義になっているものが多いので、それは認められなかった。私たち『めばな』はたまたま1回だけ主催公演実績があったから応募条件にあてはまったけれど、沖縄の芸能団体は任意団体が多いし、芸能の収入だけで生活している人は少ないから、実績を提出してもアマチュアとみなされてしまう事例が多いと思う」と語った。

3月28日に第二弾 改善に期待

 3月28日には引き続き、第二弾として新たに「AFF2」の募集が始まったところだ。同じ轍を踏まないような事業へと改善が望まれる。

 たとえAFFのような救済措置があろうとなかろうと、舞台制作者は文化芸術活動を止めることはできない。これからも続くコロナ禍の中でも模索は続くだろう。

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大野 順美

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一般社団法人ステージサポート沖縄代表。琉球芸能プロデューサー。
東京生まれ。新国立劇場、文化庁勤務を経て、2003年国立劇場おきなわの開場スタッフとして依頼されたのを機に沖縄へ転居。その後(財)沖縄県文化振興会で勤務、沖縄の文学・古謡の事業を担当。2010年組踊を中心とした沖縄伝統芸能の舞台制作として独立、県内外や海外での公演を手掛ける。
大好きな組踊をひとりでも多くの人に知ってほしい&良い舞台が観たいという一心で、組踊と名のつく仕事なら何でもやる人。

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