首里城瓦のウクレレ、どんな音?県産木材にこだわる工房が製作

 

 2019年の首里城火災に心を痛めた大城さん。「自分のこの思いをどう伝えるべきか」「自分にできることは何があるのか」と自問した結果、思い至ったのは「首里城に関係する何かでウクレレを作りたい」とのことだった。

 木材でも何でも、材料が手に入らないかと県の土木建築部に相談したところ、前述の「首里城破損瓦利活用アイデア」を勧められ、赤瓦を手にすることができた。さらに、海外に住む県系人からの募金など、再建支援の動きにも胸を打たれていた。

 「自分の場合は、行こうと思えば首里城のそばに行けます。しかし、海外に住む人はなかなか首里城に行くことはできません。首里城の瓦を音に変えて、世界中のみなさんに届けたいです

たくさんの感謝をウクレレに込めて

 大城さんは、今回の赤瓦に限らず、ウクレレを作るための材料を手にすることができたのは「周囲の協力があったから」ということを何度も口にした。

 沖縄県産の木材を使ってウクレレ製作を始めた当初は、そもそもどこで購入すればいいのかすら分からず手探り状態だったが、県の農林水産部に相談し国頭村の関係者を紹介してもらった。「県の方の紹介があり、国頭村のみなさんが今までずっと自然を守ってこられたおかげです」と感謝の言葉を口にする。

 工房の隅には、乾燥のために少なくとも半年は寝かされている木材たちが並んでいた。長く生きた木々も、伝統技法を積み重ねた赤瓦も、長い年月を経て存在するものだ。年月が織りなす歴史を「音」に込めた大城さん。ハワイ発祥のウクレレは、沖縄にしかない音色を奏でている。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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