病院事業局長再任に“待った” 医療現場「根強い不信感ある」

 
沖縄県庁

 沖縄県公務員医師会と沖縄県立病院の6病院長は14日、沖縄県病院事業局の我那覇仁局長が留任することについて、人事方針を改めることを、県秘書課を通じて玉城デニー県知事に要請した。昨年7月に起きた、県立中部病院(うるま市)での新型コロナウイルスのクラスターの公表が遅れたことに関する一連の病院事業局の対応や見解に「いまだに多くの医師から根強い不信感がある」とした。さらに、県公務員医師会の上部組織である沖縄県医師会も15日に開かれた理事会で同様の要請を行うことを決定した。

週明けすぐの緊急理事会

 県立北部病院(名護市)院長でもある県公務員医師会の久貝忠男会長が代表して要望書を手渡した。我那覇病院事業局長が留任するとの5日付新聞報道を受けて、県公務員医師会が週明けすぐの7日に緊急理事会を開いた経緯があった。「クラスター発生や公表遅れ問題の責任の所在が不明確なまま再任されることが良いのか」という議論があったという。

 久貝会長は報道陣に対して「(県に対して)現場の声を聞いて頂きたい。意見交換の場をもって、もしも我那覇局長が適任ということであれば十分です」とも話している。

中部病院クラスター問題が転機に

 51人が感染し、20人が死亡した中部病院のクラスター。このことが県議会で取り上げられた後に、クラスター発生が初めて県民へ明るみとなったことに対して批判が巻き起こった。さらに、県と医療関係者がクラスター公表のあり方や責任の所在を巡って衝突、県の専門家会議委員でコロナ対策のキーパーソンだった医師が辞任するなど、県と現場が溝を深めた決定的な出来事だった。

県立中部病院

 ある県内の医療関係者は「我那覇局長は今期で退任するだろうなと多くの関係者が想像していました」と話す。県公務員医師会が緊急で理事会を開いたことからも、現場医師の驚きは大きかった。

 病院事業局長の人事は、県立病院の今後4年間の経営方針に大きく関わることから、医師会や県立病院長には県から「従来ならば人選についてある程度のヒアリングというか、状況調査があった」(関係者)という。しかし今回は、そのような“根回し”がなかったという。現場の意見が反映されないままのポスト続投に異が唱えられた形だ。

キャンセルされた知事面談

 県立6病院の病院長からの要望書には、県公務員医師会の要望決議を尊重する旨が記されており、県庁と県立病院という「県行政の内部」で信頼関係が上手く構築されていないことが浮き彫りになった格好だ。

 さらに我那覇局長再任について「知事と公務員医師会の面談が叶わなかったので、直接文章を届けることにした」といった主旨の内容もあった。

 もともと公務員医師会としては玉城県知事との面談を求めていた。別の関係者は「一度は面談の日程を組んだが、突然キャンセルされた」と話す。現場の声を届けられずに不信感を募らせた結果、今回の要望書提出と、マスコミ各社への公開に至った。

留任強行ならば「現場の士気」低下危惧も

 県の部長級人事にまつわる現場からの要請は異例だと言える。しかし県病院事業局長については過去にも現場からの物言いがついたことがあった。ある沖縄県関係者は「我那覇局長はかつて、故翁長雄志元知事を知事選で支持したことで当時の病院局長に代えて抜擢されそうになったが、その時も県公務員医師会や県立病院院長らからの反対で人事の撤回を余儀なくされたということがありました」と述べる。さらに、もしもそのまま玉城県知事が我那覇局長の留任を強行する場合「士気が下がって退職する医師も出てくるのでは」とも危惧している。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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