「まん延防止」解除に賛成する意見多数 沖縄の経済・医療界

 
沖縄県が経済団体からコロナ対策の意見を聞いた経済対策関係団体会議=13日、県庁

 沖縄県は13日、経済界から意見を聞く「経済対策関係団体会議」と、医療従事者で構成する専門家会議を相次いで開催し、20日が期限となっている「まん延防止等重点措置」について意見を聞いた。経済界からは、同措置を延長せずに解除するよう求める声が相次いだほか、医療従事者も解除に賛成する意見が多数を占めた。

 県内では、1月に入りオミクロン株の感染拡大で新規感染者数が大幅に拡大し、1月9日から同措置が適用された。当初は1月末までが期限だったが、その後は2月20日まで延長されている。一方、県内の新規感染者数は1月15日の1829人をピークに減少傾向にあるものの、減り幅が徐々に縮小する傾向も見られている。

 経済対策関係団体会議では、参加者から「感染者の減少幅が小さくなって気にしているが、デルタ株からオミクロン株に変わって局面が変わっている。医療界が大変なことも承知しているが、春先の観光を含めて経済を回す準備をしていかないと、さらにダメージを受ける。ぜひ、20日の解除を検討してほしい」との意見が出た。

 また、官民一体で観光振興に取り組む沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長は、「高齢者や10歳未満に、感染者のターゲットがある程度見えている。こういった所に重点的に対策を行い、いったん20日で解除してほしい」と述べた。

 下地会長は「ずっと守りの対策になっている。観光業界も非常に疲弊しており、一定の条件付きであっても県内旅行を促進し、感染対策をしっかり行いながら旅行もできるという『沖縄モデル』を作っていくことが求められる」とも強調した。別の参加者からは、ワクチン接種の促進を求める声も挙がった。

沖縄県に適用されている「まん延防止等重点措置」の解除などについて議論した専門家会議=13日、県庁

 専門家会議でも、医療従事者から「(まん延防止措置を)続けても効果が出る局面ではない。飲食店に対して制限をかけていくことが今、有効かと言われると有効ではない。ただ、ここから新規感染者数が増える場合には、再度、措置を強化する必要がある」との意見が出た。

 また、「3月中旬ごろから感染者が増えると思うが、それはそれで対応すれば良い。その間、経済界の方にも一服してもらう意味で良いと思う。ワクチン接種が、これから増えることも好材料だ」などの声も挙がった。

 一方、「解除して良いと思うが、解除は『賭け』だ」と話す出席者もいたほか、「賭けに勝てる要素が見当たらない」として解除に反対する医療従事者もあった。同会議の座長を務める藤田次郎琉球大学大学院教授は、会議のまとめで「いったん解除して良いという意見が8人、慎重論が1人だった」と述べた。

 ただ、藤田座長は「国は病床使用率(県全体で52.0%)を見て、まだ(解除は)早いと言うのではないかという気もする」との見方も示した。県は15日、同措置について国に求める内容を決める方針で、それを踏まえた上で国が解除の可否を決定する。県や国の判断が注目される。

(記事・写真・図 宮古毎日新聞)

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