県内で変異株を初確認 2種類8例が判明
- 2021/3/12
- 新型コロナ・医療
玉城デニー知事は11日、県庁で会見し、新型コロナウイルスで2種類の変異株が確認されたと発表した。1月中旬から2月上旬に県内で感染を確認した8人について、変異株と判明したという。県は、8人からの感染拡大はないと判断している。県内で変異株が確認されるのは初めて。
会見に同席した県立中部病院医師で県専門家会議の委員でもある高山義浩氏は、変異株への対策について「ウイルスの変異があったからといって、感染経路が変わったりすることはない」などとして、基本的な感染対策の徹底が必要と強調した。
また、現状の感染状況で変異株が県内で急速に拡大するとは考えにくいとしながらも「本土の方が、変異株が多く流行していると思う。持ち込みがどの程度起きるのか、県内でどの位広がるか、おそらく春休みの過ごし方が勝負所になる」と指摘した。
変異株のうち1例は「英国型」
県では、国立感染症研究所の協力を得て、変異株の検査を行っている。これまで、県内で陽性が確認された患者の11.8%に当たる984例について変異株に該当するか検査したという。
県内で確認された変異株のうち、2例は感染力が強いとされる「N501Y」で、このうち1例は英国型と判明した。また、ワクチンの有効性に影響が懸念される「E484K」6例も確認された。
N501Y変異株は、世界的にも感染が拡大し、WHOが懸念される変異株として警戒を強めているもの。発生した背景から英国型、南アフリカ型、ブラジル型の3種類に分類され、国内では21都府県で345例が報告されているという。
今回、この変異株に感染していたと分かったのは、県内に在住する男性(10代)と女性(40代)の2人。いずれも県外から帰省した同じ感染者の濃厚接触者。発症は2月上旬で、不特定多数との接触はない。回復後、2回のPCR検査を受けて陰性が確認されている。
一方のE484K変異株は、国立感染症研究所が発表した新規変異株で、国内では、3月3日までに空港検疫で2件、関東を中心に394例が検出されている。
県内で感染が判明した6例は、1月中旬から下旬に感染が判明したもの。いずれも、海外や県外への渡航歴はなく、感染経路もはっきりしないという。県では、「その後、地域で新たな感染者が見つかっていない状況が続いており、収束している」とした。
また、1月から2月にかけての感染拡大と変異株の関連性について、県は「E484Kは、分かっている範囲で感染力が増強するとはなっていない。それで流行したとは違うと考えている」とした。
ワクチンの接種スケジュールに影響は?
変異株の確認でワクチン接種のスケジュールに影響が出るかについて、高山医師は「E484Kがあるとウイルス表面のスパイクタンパク質に変異が起き、ファイザー製ワクチンの効きが悪くなるのではないかと言われているが、実際のワクチン接種では、変異部位だけでなく様々な効果は得られる。ワクチンがいきなり効かなくなるわけではない」と語った。
その上で、「もちろんこれが流行しないように県民と協力していく必要はあるが、ワクチンのスケジュールを変えたり、接種をあきらめたりする必要はない」と強調した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)