照屋義実氏が副知事就任
- 2021/3/11
- 政治
県は11日、副知事辞令交付式を県庁で行い、玉城デニー知事から照屋義実氏(73)へ副知事に任命する辞令が手渡された。任期満了で8日に副知事を退任した富川盛武氏の後任となる。交付式後の記者会見で照屋氏は「県民の皆さんの命や財産を守り、そして沖縄の未来を担う責任の重大さに大変、身の引き締まる思い」と語った。
照屋氏は与那原町出身。てるまさグループの代表、県建設業協会の会長や県商工会連合会会長などを歴任したほか、2015年8月には県政策参与に就任。また、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」の共同代表も務めた。
玉城知事は交付式で、照屋氏の経歴を踏まえ「今後は副知事として、これまでの豊富な経験と知識を十分に発揮して、県行政の発展に尽力してほしい」「誰一人取り残すことのない沖縄らしい優しい社会を築いていくために一緒に力を合わせて取り組んでいきましょう」と述べた。
照屋氏は沖縄への思いについて、「私が生まれてきたこの島の自然の豊かさ、肝心(ちむぐくる)の大きさを含めて、わが郷里沖縄は姿も心も美しく、そのままに子や孫たちに引き継がないといけないという思いで今までやってきた」と強調した。
また、福島大学で学んだ4年間を通して深く感じた沖縄への思いについては、さらに豊かな故郷を願うとともに、郷里をこよなく愛するという意味を込めて自ら造った「尚豊愛郷」という言葉で表現した。
今回、副知事を受諾した理由について問われた照屋氏は、30年前に2代目社長に就任した当時を振り返り、「2代目の使命は3代75年続く経営の基盤を作ること。それを見届けるまでは尽力したい」と考えてきたが、「(現在は)経営の責任を担う重責から解放された」と述べた。
照屋氏は、沖縄には声は上げないがオール沖縄を支持するサイレントマジョリティーが多いと指摘した上で、「それをしっかり胸に抱きながら、頑張っていくことが私の使命」と強調した。県によると、照屋氏は副知事として総務部、環境部、農林水産部、商工労働部、文化スポーツ部、教育委員会などを担当する方向で調整しているという。
副知事人事案は賛成24、反対23の僅差での同意
照屋氏の選任をめぐっては、8日に開催された県議会総務企画委員会や10日の本会議で議事が紛糾した。本会議では、副知事人事案に対して記名投票を行い、賛成24、反対23という僅差での同意となった。
本会議での投票は、県政野党が無記名投票を求めたのに対して、与党は記名投票を要求する異例の展開となった。議長を除く47人が投票した結果、無記名投票が賛成23、反対24で否決、記名投票が賛成24、反対23で可決され、記名で投票が行われた。
投票前に行われた討論では、賛成討論に宮古島市区選出の國仲昌二氏(てぃーだネット)、反対討論には沖縄・自民党から浦添市区選出の島尻忠明氏と、うるま市区選出の照屋守之氏が登壇して、それぞれの立場で意見を述べた。
反対の立場で討論した島尻氏は、政策参与として産業振興に明るいとする照屋氏について「県の経済計画や県予算確保に全く関与していない」と指摘。その上で、「次期沖縄振興計画に向けた作業は待ったなしである。なぜこの時期に(富川副知事に代えて照屋氏を)起用するのか到底理解できない」と強調した。
また、2014年に朝日新聞が照屋氏に行ったインタビューで「この10年ほどは米軍や防衛省関連工事には手を挙げてさえいない」と発言していた件について、実際にはその間に5件の入札に参加していたとして「まさに二枚舌だ」と批判した。
一方、賛成の立場で討論した國仲氏は、照屋氏が長年にわたり経済界で活躍し、県建設業協会会長や県商工会連合会会長などを歴任したほか、県教育長や県政策参与などを務めた実績から「豊富な知識や経験から副知事として適任である」と訴えた。
また、マスコミでの発言が虚偽ではないかとの指摘については、県に確認したところ、虚偽ではないことが確認され、欠格条項にも全く該当しないとの説明があったとして「これについても全く問題はない」との認識を示した。さらに、「玉城デニー知事を支える副知事として最適任者だ」と応じた。
照屋氏は、11日の選任式後、「大変厳しい選出劇でありました。難産の方がよく育つという風に言われておりますが、私自身の個人的な考えとしては、良く育つ副知事でありたい」と語った。
(記事・写真 宮古毎日新聞)