告示まで1カ月 うるま市長選の行方は

 


 4月18日に告示されるうるま市長選(4月25日投開票)まで1カ月となった。既に出馬を表明している前うるま市議の中村正人氏(56)と、元沖縄国際大学教授の照屋寛之氏(68)との新顔同士の一騎打ちとなる公算が大きく、主要政党の推薦も出そろった。政府与党と玉城デニー知事率いる「オール沖縄」勢力が対峙するおなじみの構図だが、玉城県政を支える与党会派の一つが中村氏支援を決めたことが波紋を引き起こしている。

三たびの代理戦争


 うるま市長選は任期満了に伴い実施されるが、現職の島袋俊夫市長は昨年、病気療養に専念するため不出馬の意向を明らかにした。保守系の島袋氏は2009年の市長選で初当選し、現在3期目。後継候補として市議だった中村氏の擁立が決まり、自民と公明が推薦を出している。


 1月の事務所開きで、中村氏は「新型コロナウイルスからうるま市民の命と暮らしを守る。世界共通のSDGsの17項目のうるま市版をつくり、実現する」と強調した。旧具志川市を含め6期22年市議を務めた経験から「現場主義」を掲げ、コロナ対策を喫緊の課題に位置付ける。


 一方の照屋氏は行政学や政治学を専門とする研究者で、今年2月まで沖国大教授だった。沖縄の地元紙にたびたび登場する論客としても知られ、オール沖縄を支えるメンバーらでつくる選考委の要請を受け、出馬を決意した。共産や立憲民主、社民、社大各党の推薦を受けている。


 2月の事務所開きで、照屋氏は「地を這うように、まさに岩盤を打ち砕くようにやっていかないと勝てるものでない」と決意を示した。中村氏同様、新型コロナ対策を緊急の課題に挙げ、SDGs推進や低迷する市民所得向上などを政策に打ち出している。


 1月の宮古島市と2月の浦添市に続き、うるま市は今年3度目の市長選になる。宮古では自公が、浦添ではオール沖縄が敗れる展開となり、「政府与党VSオール沖縄」の代理戦争と化した市長選第3ラウンドの行方は全国的に注目されている。

知事の〝お膝元〟


 2005年に2市2町が合併して誕生したうるま市は、実は政治にゆかりのある地域でもある。沖縄戦の組織的戦闘が終わって間もない1945年8月、米軍政府の招集による住民組織「沖縄諮詢会」が発足したのは、旧石川市の収容所だった。沖縄諮詢会委員長で後に沖縄民政府知事になる志喜屋孝信氏は旧具志川市、現在の玉城知事は旧与那原町出身だ。その他にも著名な政治家を輩出している。


 現在のうるま市の人口は約12万2千人と、那覇市、沖縄市に次いで沖縄県内で3番目に多い。前回2017年の市長選では、島袋氏が大票田の地元・具志川を中心に票を固め、5700票以上の差をつけて新顔を退けた。


 市議6期22年の豊富な経験を持つ中村氏による島袋市政継承か、それとも、政治行政の研究を37年重ねてきた照屋氏による刷新か。新型コロナウイルスの感染防止はもちろん、市内の物流拠点への企業誘致をはじめとする経済振興や失業率改善、市内の均衡ある発展なども争点となる。

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