沖縄アリーナ落成 国際都市化や中部活性の起爆剤なるか
- 2021/3/29
- 政治
最大1万人収容を誇る屋内施設「沖縄アリーナ」(沖縄市山内)の落成式典が28日に同会場で開かれた。関係者ら招待者ら約700人が参加。スポーツやエンターテイメントのみならずビジネス系大型イベントでの活用も想定しており、東アジア・東南アジア全域を集客ターゲットとして見据えた大規模施設の誕生で、沖縄市・コザを中心とした本島中部の活性化とともに、沖縄の国際都市化への期待も高まる。
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国内外の結節点「沖縄」を強みに
式典では桑江朝千夫沖縄市長が、アリーナ始動の意味を込め、バスケットボールのフリースローで「試投式」を行った。左右方向の狙いはばっちりだったものの僅か10センチほど距離が短く、リングに弾かれる形となったが、こぼれたボールはBリーグ・琉球ゴールデンキングスのドウェイン・エバンス選手がダンクシュートでゴールにねじ込み、賑やかな門出となった。
アリーナは、フロアの周囲を客席が囲んだ施設を指す。1万人以上収容できるアリーナは全国に20カ所以上あるとされるが、沖縄が台北、香港、上海など海外の大都市と近く国内外の結節点にあることや、商圏とする沖縄本島中南部圏の人口が政令指定都市並みである「都市型立地」を利用メリットに位置付ける。
キングス側とも一体運営
エバンス選手が式典に登場したことが象徴するように、沖縄アリーナは琉球ゴールデンキングスの新本拠地としての機能を持つ。指定管理者の「沖縄アリーナ株式会社」はキングスを運営する「沖縄バスケットボール株式会社」の傘下にあり、管理者と球団が一体となって施設運営を行うBリーグ初の事例となった。
市は施設運営について「キングスの試合の他に月に1つか2つイベントが入れば採算が合う」としている。
客席やステージ、510インチ大型モニターを動かすことで、多様なスポーツやコンサートの形態に対応できる。床部分を置き替えることで、人工芝にもスポーツコートにもスケートリンクにもなる。アリーナ面を60台の4Kカメラが取り囲むように狙っており、まるでアリーナ内を自由に飛び回って眺めているかのような映像表現も可能だ。
6月5日に開催されるグランドオープニングイベントには、メインゲストとして人気音楽グループ「DREAMS COME TRUE」が出演する。
フィリピンを主会場に日本とインドネシアでも開催される2023年FIBAバスケットボール・ワールドカップの予選ラウンドの会場として、国内で唯一選定された。
沖縄の子どもたちにたくさんの体験を
施設の建設や整備は沖縄市の事業でありながらも、名称は敢えて“沖縄市”ではなく“沖縄”アリーナとした。県外や海外に向けて沖縄の魅力を発信するとともに、これまで県外に行くことでしか体験できなかった大規模イベントを、沖縄県民、とりわけ沖縄の子どもたちに楽しんでほしいとの思いがあるからだ。
もちろん、本島中部の振興や沖縄市の発展への起爆剤として期待も寄せられる。式典あいさつの中で桑江市長は「沖縄市の近隣市町村が目覚ましい発展を遂げる中、本市では空き店舗が目立ち、多くの市民が不安や閉塞感を抱えてきた」と言及し「中部の中核都市としての沖縄市を取り戻したい」と述べた。
テープカットには桑江市長の他、玉城デニー県知事、中山泰秀防衛副大臣、岡下昌平内閣府大臣政務官、宮里敏行沖縄商工会議所会頭、小浜守勝沖縄市議会議長が参加した。本体総事業費は約162億円。防衛省の「再編推進事業補助金」などを活用した。