【沖縄県知事選】投開票直前!各候補者の基地問題へのアプローチは?

 
奥に見えるのが普天間飛行場。住宅がひしめく中にある

 投開票日の9月11日はもう間近。“3日攻防”に突入した沖縄県知事選挙はラストスパートを迎え、元郵政民営化担当相で無所属新人の下地幹郎氏(61)、前宜野湾市長で無所属新人の佐喜眞淳氏(58)=自民、公明推薦=、2期目を目指す無所属現職の玉城デニー氏(62)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=(届け出順)は公約の訴えに東奔西走している。

 米軍基地問題は、沖縄の選挙とは切っても切れないトピックだ。戦後77年、日本本土復帰50年が経過してもなお、沖縄最大の問題の1つであり続けている。普天間飛行場の危険除去と辺野古移設を中心とした基地問題について、3人の候補者はどのようにアプローチしているのだろうか。

下地氏「馬毛島移転で辺野古に決着をつける」

 普天間飛行場で実施されている訓練を鹿児島県の無人島・馬毛島へ移転させることで負担軽減を図り、「県民同士の争いを終わらせて、辺野古に決着をつける」と豪語する下地氏。経済政策や新型コロナウイルス感染症への対応策、さらには教育政策にも「全てに辺野古が影響している」と述べ、辺野古移設を巡る問題を最重要政策に位置づける。

 現在名護市辺野古で進行している工事についても、大浦湾側の「軟弱地盤は埋め立てない」と断言しており、現時点で埋め立てられている部分についてはオスプレイなどの航空機を普天間から移駐する場所として活用し、そうすることで負担軽減と危険性の除去につなげると主張。その上で、普天間飛行場を軍民共用化して民間飛行場としても活用することで宜野湾市の経済活性化にも資することができるとした。

 このほか、日米両政府と沖縄県との具体的な交渉の場を設け、米軍基地返還計画を前倒しすることにも言及している。

佐喜眞氏「2030年までに普天間返還を実現」

 佐喜眞氏は「対立から対話へ」というフレーズを掲げ、普天間飛行場の危険性除去を早期に実現するために辺野古移設を容認している。その上で、県外飛行場の活用や訓練移転と辺野古埋め立ての工期短縮により、「普天間飛行場の返還を2030年までに実現する」ことを表明する。返還合意から26年が経過しても危険性除去・負担軽減が実現できていない現実を見据え、政府との「対話」によって早期返還を模索する構えだ。

 米軍基地の跡地については、普天間飛行場、キャンプ・キンザー、那覇軍港の跡地整備を一体的に進め、「沖縄の未来を賭けた国家的プロジェクト」として開発することも打ち出す。普天間には国連機関や国営公園を誘致し、キンザーは国際物流・産業拠点に、そして那覇軍港はウォータフロント開発により沖縄の発展に寄与することをアピールしている。

 加えて、日米地位協定の改定について日米合同委員会に沖縄県の意見反映を求めること、米軍人・軍属による事件・事故防止のための米軍当局と沖縄県警との連携強化にも触れた。

玉城氏「辺野古に新しい基地はつくらせない」

 辺野古の米軍基地建設に一貫して反対する玉城氏は、「あらゆる手だてで新基地建設を止めることは可能」と断言。2013年に県内41市町村と県議会の代表が普天間飛行場の閉鎖・撤去と県内移設断念とオスプレイ配備撤回を求めた「建白書」に則り、「美ら島沖縄に、辺野古新基地・オスプレイは要りません」と訴える。

 「基地を返還させてこそ、沖縄の経済発展が十分に見込める」として、米軍基地の整備縮小の必要性をアピール。普天間の移設先は、県外・国外の方向性を議論すべきだと述べる。基地負担軽減に向けては、日米両政府に沖縄を加えた三者間協議の場を持つことも求めている。米軍基地から派生する事件・事故、航空機騒音に加えて、有機フッ素化合物(PFOS)などの有害物質による水質や土壌の環境汚染から県民の命・財産を守るために「日米地位協定の見直しは必須」と強調する。

 また、基地の跡地利用については「基地の地代収入や雇用者所得よりも返還後の方が経済効果が高まり、雇用者も増加している」と説明し、返還によって生まれる都市空間を有効利用することが沖縄の振興・発展の基盤となることを主張している。

 経済政策や子育て・教育政策に比べ、基地問題へのアプローチは3候補者それぞれの立場の違いが際立っているので、選択の判断材料として分かりやすいかもしれない。投開票日までもう間もなく。有権者の権利をきちんと行使して、沖縄の未来を考えた1票を投じよう。

■関連リンク
【沖縄県知事選】投票間近!候補者はどんな経済政策を訴えている? ‖ HUB沖縄
【沖縄県知事選】間もなく投票!各候補者の教育・子育て政策の目玉は? ‖ HUB沖縄
沖縄県知事選告示 下地氏、佐喜眞氏、玉城氏が各地で訴え 経済再生や辺野古移設争点 ‖ HUB沖縄


真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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