次期振興計画の名称は「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」
- 2022/4/2
- 政治
沖縄県は1日、新たな沖縄振興計画の最終案を発表した。新計画の名称は「新・沖縄21世紀ビジョン基本計画」とする。県庁で会見した玉城デニー知事は、計画名称について「復帰50周年の新しい節目からスタートする振興計画で、基地のない平和で豊かな沖縄をあるべき県土の姿としながら、新時代沖縄を展望し得る施策を表現したもの。また、現行計画である『沖縄21世紀ビジョン基本計画』は広く県民等に認識されている」と説明した。
計画の期間は2022~31年度の10年間。同計画における施策展開の基本方向としては、(1)平和で生き生きと暮らせる「誰一人取り残すことのない優しい社会」(2)世界とつながり、時代を切り拓く「強くしなやかな自立型経済」の構築(3)人々を惹き付け、ソフトパワーを具現化する「持続可能な海洋島しょ圏」の3つを掲げている。
最終案では、自立型経済の構築に向け、リーディング産業として観光産業や情報通信関連産業、臨空・臨港型産業を挙げた。情報通信産業については「域内産業におけるデジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を牽引することで経済社会に変革をもたらすことも期待される」とした。
また、新型コロナウイルスの感染拡大で県経済が大きな打撃を受けたことを踏まえ「今後は新しい生活様式やニューノーマル(新たな日常)に適合した社会変容が求められる。沖縄経済を守り、速やかな回復と発展につなげるには、ポストコロナを見据えた出口戦略を想定し、経済の回復と新たな経済戦略の推進を図らなければならない」と強調している。
会見で、玉城知事は「新たな振興計画は、SDGsを取り入れた経済、社会、環境の3つの側面が一体となった各分野別を多面的に網羅する形で構成立てられている。DXや自然史博物館の誘致など、様々な分野で沖縄の特性を発揮することができる計画があるので、一つ一つ取り組んでいきたい」と強調した。
年2.1%の経済成長見込む
県内総生産について、同計画では「観光産業の高付加価値化や各産業のDX推進による労働生産性の向上等が期待される」として、2020年度の4兆1000億円から31年度には5兆7000億円(名目)を展望値とした。県内総生産は19年度の実績見込み約4兆5200億円から、新型コロナの影響で20年度に大幅に低下したとみられている。
計画では、23年度には経済の水準が新型コロナの感染拡大前の水準に回復し、その後は名目、実質ともに年2.1%程度の経済成長が見込まれるとしている。1人当たり県民所得は、20年度の214万円から31年度には291万円(名目)程度になるとしている。県は、5月に次期振興計画を最終的に決定し、政府に提出する方針。
(記事・写真 宮古毎日新聞)