【沖縄県知事選】”期日前”を制する者は選挙を制す? 投開票当日に台風接近

 
期日前の投票所に並ぶ有権者=9月9日、沖縄本島中部

 選挙戦最終盤の「三日攻防」に突入している沖縄県知事選挙(9月11日投開票)。届出順に、立候補している無所属新人の下地幹郎氏(61)、無所属新人の佐喜眞淳氏(58)=自民、公明推薦=、無所属現職の玉城デニー氏(62)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし、れいわ推薦=は大票田の県都・那覇市を中心に精力的に政策を訴え、浮動票の掘り起こしに躍起だ。

 同日選となる県議会議員補欠選挙や宜野湾市長選の候補者とのセット戦術に力を入れるほか、台風12号が投開票の当日に沖縄地方に接近する見通しとなっており、各陣営とも「取りこぼし」を懸念して期日前投票を広く呼び掛けている。期日前の投票率がどの程度になるかが票読みにおいて重要な要素になりそうだ。

3候補 最終盤各地で熱い訴え

支持者と握手する下地幹郎氏=9月8日、那覇市内

 8日午前、企業回りをこなして午後2時過ぎに那覇市の美栄橋駅前で街頭演説した下地氏は、まず選挙戦が三日攻防に突入したことに触れて「この3日間、全力投球で頑張っていきたい」と口調を強めた。基地問題について、鹿児島県・馬毛島への米軍訓練移転で負担軽減を図るという持論を重ねて強調した上で「戦略を考え直して、国に頼らない手法で基地負担軽減を進めなければならない。沖縄が自分たちから国に積極的に提案していくことが必要です。下地幹郎は、解決を優先したい」と述べた。

 また、今回の選挙戦で主にYouTubeやSNSを活用していることについても触れ、「テレビもない、固定電話もない、新聞も読まない人たちが本気になって『変えよう』と言わなければ沖縄は変わらない」とし、ネット上での広がりで「新しい変化は確実に生まれます」ともアピール。

 基地問題や貧困対策、経済振興など全てにおいて「新しい流れが必要になっている」と重ねて強調し、「沖縄が自分たちの足でしっかり歩くことができるということを示すのが、私の役割なんです」と熱弁して演説を終えると、周辺の店舗回りに駆け出した。

投開票日までの残り日数を指で示しながら有権者と触れ合う佐喜眞淳氏=9月9日、那覇市内

 佐喜眞氏は8日以降、大票田の那覇市内を中心に遊説に精を出す。9日午前に那覇市内でマイクを握った佐喜眞氏は、コロナ禍でダメージを受けた経済の立て直しを強調し「沖縄の経済は観光関連産業を中心に極めて厳しい状況だ。この2年間で観光収入は約1兆円失われた。観光関連産業を守り、救っていくことを大きなテーマにしている」と力を込めた。さらに、この問題に対しては「本来は行政や政治が業界を守っていくべきなのに、民間と行政が対立しているのが今の沖縄県だ」と現県政を批判した。

 「県民を置き去りにするような無責任な政治ではいけない。基地問題が唯一の問題ではない。足元にある我々の暮らし、子どもたちの教育、高齢者への福祉、どれも大切で、どれもやらなければならない」と改めて訴え、自身の宜野湾市長時代に触れながら「政府と対等に交渉を重ねて結果を出してきた。それが私の政治姿勢です」と支持を呼び掛けた。

 佐喜眞氏は県議会議員補欠選挙(県議補選)に出馬している自民公認の候補と共に通行人らにアピールを重ね、支持拡大を図っている。

支持者とグータッチする玉城デニー氏=9月8日、糸満市内

 玉城氏は8日午前8時半から、糸満市の兼城交差点で三日攻防初日の第一声を発した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題を念頭に、選挙のポイントを「誇りある豊かな未来をつくっていくのか、それとも政府の言いなりで容認するのかが問われている」と強調。その上で「辺野古の新基地も南部の土砂使用問題も『やっていいですよ』という声を聞かせてしまったら、まるで(反対の)声は存在しないような状況になりかねません。決してそのような結果を導いてはいけない」と力を込め、再選して移設反対の民意を改めて示す必要性を訴えた。

 また、SNSを中心に自身に関する虚偽情報が多く流布されていると主張し、「フェイク情報でも、自分の下にその情報だけが流れてくると真実だと信じ込んでしまうことがあります。すると間違った選択をしてしまいかねない。だからこそ、私は街頭でしっかりと皆さんに訴えます」と語り、マイクを持つ手に力を込めた。

 玉城氏は県議補選や宜野湾市長選に出馬している同じ「オール沖縄」勢力の候補と共に街頭に立つ場面も多く、セットで支持拡大を図っている。

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