ウグイス嬢匿名座談会(上) 話を止めないプロ意識 犬にも「ご声援ありがとう!」

 

 6月7日に投開票した沖縄県議会議員選挙では、各陣営とも必死の選挙戦を繰り広げ、県民の代弁者たる県議の顔ぶれが出そろった。

 候補者の必死の演説や政策アピールもさることながら、選挙ムードを一気に盛り上げるのが、町中を練り進む選挙カーから響くウグイス嬢の声だ。

 1日12時間は声を出し続けることもあるというウグイス嬢。実は誰よりも近くでさまざまな候補者や選挙戦を見てきている彼女らに、匿名でぶっちゃけトークをしてもらった。

参加ウグイス嬢

Y子さん(33) 那覇市長選や豊見城市議選などでウグイス嬢を6回。本業はフリーバスガイド。

A子さん(35) 中城村議選や県議選などでウグイス嬢。正社員バスガイド。

S子さん(33) 沖縄市議選や県議選など8回。フリーバスガイド。

そもそもウグイス嬢ってどうやってなるの?

Y子「もともとバスガイドをやっていて、職場の組合の人が政党の事務所に関係してて、それが最初のきっかけです」

S子「私は、同業他社の人からお願いされました」

A子「私は先輩つながり。この時が選挙かぶってる時期で、本当に足りないってなって」

Y子「ウグイス嬢ってバスガイドが8割ぐらいだよね。断トツで多いと思う」

ウグイス嬢 沖縄ニュースネット
Y子さん

A子「あとは司会業とか」

Y子「候補者の友人知人かなぁ。夜のお店の女の子もやってるよ」

S子「え、私は見たことない。夜のお店の女の子」

報酬はいくらもらえるの?

Y子「法定では1日1万5000円が上限です」

S子「でも、プロを雇って1万5000円は安いよね」

Y子「去年の参議院選挙で河井案里議員の選挙事務所が法定より高く払ったという問題あったね」

Y子「政治的な立ち位置関係なく、仕事として誰の応援でもするって意味では、私たちが完全無所属だよね」

A子「保革のイデオロギーなんて関係ない」

S子「仕事で受けてるだけ」

Y子「でも、配慮することもある。例えばある選挙区で保守の応援したら、その選挙区ではその後の選挙で革新の応援しないとか、そういうことはしている。沖縄狭いしさ」

A子「私はなんにも気にしないです。頼まれたところをやっている」

ウグイス嬢 沖縄ニュースネット
A子さん

私のファインプレーは?

S子「今回作ったフレーズでいくと、『真っ白な投票用紙には、迷わず〇〇 ぶれずに〇〇 県議には〇〇 〇〇で決まり!』とか言ってた。その後、唱和してもらう。『それではみなさまご一緒に!』ってリズミカルに」

Y子「これとかもう、盛り上がってきたピークぐらいだよね。リズムに乗せる時ってあるよね」

S子「これと、あと一個歌作っちゃった。ラップの」

A子「ラップ!」

S子「思いの他(同乗して応援に参加していた)某村長がノリノリでから。イェー!とかチェケ!とか言ってるわけさ。面白かったんだよなぁ。最後のあたり『チェケラ村長』って呼んでました」

Y子「一緒に乗る先生とかが真面目だったら全然面白くないよね」

S子「怒られると思ったけど全然大丈夫だった」

A子「あと、見えない人にも『ご声援ありがとうございます』っていう技がある」

Y子「『お2階からありがとうございます』のやつ?」

A子「そうそう。誰も人いないのに」

S子「シナリオに飽きるわけさ、同じことばっかり言うから」

Y子「政策と名前の連呼だけだから、同じことしか言えないんだよね」

A子「車通ってないのに『お車の窓からありがとうございます』って言ってる」

S子「あとさ、3日攻防になったら私たちが大きな声を出すから、『うるさいな』みたいな目で通行人やドライバーが見てくるでしょ?そういう時は、『ご注目頂きありがとうございます!』って言ってる」

A子「クラクションも『ご声援』ってする。とにかくすべてを味方に変える」

Y子「『この熱いまなざしを市政に変えます』とかね」

とにかく話を止めない「犬にも手を振る」

Y子「犬がいたとすると、『かわいいワンちゃん。ナンバーワンのご声援をありがとうございます!』。さらに応用として『ワンちゃんがお散歩をしやすい環境づくりにも積極的に努めて参ります』とか。公園整備とか都市計画にまで話に広げる」

S子「そもそも政策を話したところでなかなか聞いてもらえないよね」

Y子「聞いてもらえない中で、どうやってモチベーションをキープして候補者の名前を連呼できるかが難しい」

S子「3日攻防に入ると、なおさら候補者の名前しか言わなくなる」

Y子「3文字は連呼しやすいけど、4文字とか5文字になるとしんどい」

S子「私たちはとにかく話を止めない。これが基本。ずっとしゃべってる。話が止まってるのは新人さんに多い」

Y子「無駄に『ありがとうございます』を連呼している時って、自分今日調子悪いなって思う。バロメーターになる」

A子「話してたら噛んで止まることもあるでしょ?その時には『ありがとうございます』でごまかす」

Y子「それはあるね」

A子「『ありがとうございます』で一回話を区切れる」

上り坂に差し掛かるとチャンス

Y子「私、季語とか入れちゃう笑 2月の選挙の時はサクラが咲くから『咲いた 咲いた サクラが咲いた』みたいな」

S子「季語とか入れるんだ?私は入れない、季語は」

Y子「飽きないようにね。『うりずんの風吹く、今日この頃』とか」

A子「あれは言ったよ、泊大橋渡る時に、『この泊大橋のように、県政の架け橋になります』『この広い海のように、広い心を持っています』。あと、上り坂の時も『この上り坂を登るように、一歩一歩県政の道へと登って参ります』」

Y子「なんでも取り入れるよね」

S子「上り坂と海はよく使う」

Y子「あと、めっちゃ雨降ってる時は『雨の日も風の日も頑張ります』も」

S子「『雨にも負けず、風にも負けず』はよく言う。あるもん全部使う!雨降ったら主婦に洗濯物取り込みの周知とかしてる。教えてあげて、名前も覚えてもらおうと」

ウグイス嬢 沖縄ニュースネット
S子さん

絶対に見逃さない

S子「選挙カーの中からこっちを見ている人探すの、私たち超上手だと思う。『あ、一瞬見たな』とか。絶対見逃さないっていうつもり」

A子「ウチナーンチュって手ぇ振られたら振り返すさ?それを狙うわけ」

Y子「あと、子どもたちが大勢いて反応すると、『子どもたちの元気な声援、頂きました』って」

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長濱 良起

長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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