県出身ミャンマー在住者「いつなんどき発砲されるか」

 

「警察と軍は、強盗みたい」

 「99.99%は軍政に反対ですよ」と、国民の圧倒的多くが軍政に反対していることをこのように表現して訴える。「軍政に賛成しているのは、軍の関係者とかその家族とかぐらいですよ。(軍政に)賛成しないと困りますから」

 ミャンマーでは13日から19日まで正月休みで、「ティンジャン」と呼ばれる水かけ祭りがある。金城さんは「軍が舞台を作って水かけ祭りへの参加を呼び掛けても、誰も参加せずガラガラでした」と、軍の求心力の無さを語る。

軍政への抵抗を示すハンドサイン

 このような圧倒的多数の民意をもってしても、民主化は簡単ではないのだろうか。

 金城さんは「軍は折れることはないと思いますよ。1962年から長いこと軍政を敷いてきた知恵がついているというか。軍のトップは『経済制裁されても困らないよ。こっちには食うもんあるし、水と米があって昔ながらの生活ができればいい』と言っています」と説明する。「警察と軍は、強盗みたいなものです。デモ隊のせいにしながら勝手に店から品物を取って、オーナーを連行しています。普通の国は、警察や軍は国民を守るためにあるはずですが、ミャンマーの場合は、逆です。ネットではゲリラがデモに協力しているので国軍は発砲していると言っていますが、そんな事はありません。デモ隊は小石と花火で応戦しています」と窮状を訴える。

国際社会へ求める毅然とした対応

 ミャンマーにいる邦人として、日本政府の対応が「歯がゆい」と吐露する。「日本はミャンマーに補助を出してフリーゾーン(自由貿易地域)を作るなど、大量に投資しています。あれだけの投資をして、日本から民間会社をたくさん呼んで、経済制裁ができないのでは。ミャンマー軍と日本政府がパイプを持っているというのなら、国軍にどのようなアプローチをしていくかが大事です」

 国連をはじめとした国際社会に対して金城さんは「非難するだけでなく、医療・食料の緊急援助をすべきです。国連軍でミャンマー国軍を抑えて解体してほしい」と具体的な行動を求めている。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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