県出身ミャンマー在住者「いつなんどき発砲されるか」

 

自宅付近でも銃声

 この日も自宅のあるターモイ地区で20、30発は銃声が聞こえた。金城さんの自宅近くの通りでも、37人が逮捕されたという。周囲には、身内が軍に殺害されたという人もいる。

 「軍は実弾ではなくゴム弾を使っていると言いますが、嘘ばっかりですよ」。金城さんがそう言い切るのには、経験上の自信があるからだ。「音で分かります」。金城さんの地元は米軍基地の近くで、ミャンマーに来る前に貿易の仕事で訪れていたフィリピンやベトナムでも、演習などでよく実弾の音を聞いていたから耳になじんでいる。「実弾の場合は『ポンポンポン』と紙鉄砲のような音がするんですよ」

SNSで市民が暴く軍の実態

 4月9日時点では、インターネットの回線は午前1時から9時にかけては遮断されているというが、それ以外の時間帯は回線がつながるという。しかしスマートフォンでのネット接続は終日不可能だ。一方でスマホでの通話は可能だという。「電話まで切ってしまうと軍も困るからです」。ネット環境が整備されている金城さんの自宅には、ネットに不自由した近所の人が接続しにやってくるという。しかし、軍がいつネットを完全に遮断するのか、真偽不明のフェイク情報が国内中を巡ることも多い。4月1日のエイプリル・フールには「10日からブロードバンドが完全に遮断される」という噂が拡散されたが、結局完全遮断には至らなかった。

 1988年に数千人が死亡したとされる民主化デモの時と決定的に違うのが、まさにこのインターネットの活用だ。SNSは規制の対象だが、VPN(仮想プライベートネットワーク)のサービスを利用して、国民は積極的に国内外にミャンマーの現状を発信している。「拷問を受ける人の画像がフェイスブックなどで出回っています。首絞められて殺される人もいます。軍は隠しているつもりでも、一般の人が自宅の窓などから隠し撮りして明るみにしています。今は嘘がつけない時代です。若い人はネットでみんな知っています。自分の国がいかに異常であるかを」

 しかし、SNSでの発信を積極的に行うと、国軍に目を付けられることもある。「フェイスブックで毎日のように画像やコメントを発信している義姪に警察幹部から電話が入り、現在家族みんなで雲隠れしているようです」

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