遺族らが恒久平和祈る 旧海軍司令部壕で24年度慰霊祭

 
犠牲者のみ霊を慰め、世界の恒久平和を祈った大田司令官の孫の聡さん=13日、豊見城市の海軍壕公園

 1945年6月の沖縄戦末期、県民の惨状と後世での配慮を当時の海軍次官に訴えた「沖縄県民斯ク戦ヘリ」を打電し、自決した旧海軍沖縄根拠地隊の大田實司令官と壊滅した同部隊の命日に当たる13日、豊見城市の旧海軍戦没者慰霊之塔前広場で「2024年度旧海軍司令部壕慰霊祭」(主催・沖縄観光コンベンションビューロー・下地芳郎会長)が執り行われた。

 大田司令官の遺族、関係者らが集い戦没者らのみ霊を慰め、世界の恒久平和を願って献花し焼香した。

 毎年行われる同慰霊祭は、コロナ禍で3年間は規模を大幅に縮小して行われていたが、同感染症が沈静化したため、昨年から同司令官の遺族らを招いての通常開催となっている。

 同慰霊祭には、同司令官の孫に当たる大田聡さん(63)らが出席し平和への祈りを捧(ささ)げた。聡さんは「祖父の打電は、沖縄戦の現状を看過するに忍びないという思いだったのだろう」と述べた。

 その上で、現在のウクライナやイスラエルなどの世界情勢について、「紛争を武力で解決することの惨(むご)たらしさや、取り返しのつかない状況に追い込まれることはあってはならない。特に沖縄では二度と戦争を起こしてはならないと願う。同時に武力に頼らない紛争解決を世界が目指すことが最も大事だ」と話していた。

 式典には聡さんの妹の甲斐明子さん(61)も出席し、共に世界の恒久平和を祈った。

 主催者の下地会長は「戦争体験者の高齢化と戦争の風化が懸念されているが、世界紛争が続く今、戦争の歴史の教訓を後世に伝え、平和な沖縄を未来永劫(えいごう)引き継ぐことが私たちの重要な責務だ」と強く訴えた。

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