那覇市で住民避難訓練、弾道ミサイル想定し地下へ逃げ込む 周辺で反対行動も
- 2023/1/21
- 社会
那覇市と沖縄県、内閣官房、総務省消防庁は1月21日午前、仮想国が発射した弾道ミサイルが日本に飛来する可能性が生じた場合を想定した住民避難訓練を那覇市銘苅の公共施設「なは市民協働プラザ」で行った。住民や近所の保育施設に通う園児ら計83人は誘導に従って施設の地下駐車場に避難した。午後には那覇市役所で庁舎内の初動対処訓練も行われた。
避難訓練の会場付近では訓練の実施に反対する市民が集まり「ミサイル訓練より平和の努力を」「訓練ではミサイルから市民を守れない」などと声を挙げた。
防災頭巾を被る園児 車椅子での避難も
国民保護法に基づく那覇市での国民保護訓練は4年ぶりの実施で、武力攻撃を想定した避難訓練は初めて。県内では昨年11月30日に行った与那国町に続き、2例目となる。
21日午前10時過ぎ、ミサイルの飛来を知らせるサイレンが鳴り、防災行政無線で全国瞬時警報システム(Jアラート)の避難を促すメッセージが流れると、参加者は消防団や警察の誘導で地下駐車場へ歩いて避難した。車椅子に乗った人の避難も想定し、地下へ降りる際に消防団数人が車椅子を抱えて階段を降りる訓練も行った。
地下駐車場では警察が頭を守ることを呼び掛けると、コンクリートの壁沿いに並ぶようにしてしゃがんだ参加者たちが両手で頭上を覆った。防災頭巾を被る園児たちの姿もあった。ミサイルが通過するまでの数分の間、参加者たちはうずくまった状態で動きを止めた。
「訓練できて良かった」「戦争に向かう雰囲気心配」
子ども2人を連れて参加した40代の女性は「もし何かあった場合にどうすればいいのか分からず、心配だったので、今回訓練をできて良かったです」と振り返った。薄暗い地下駐車場は「少し怖かった」という小学生の息子は「今日学んだことをこれからに生かしたいです」と話した。
一方、訓練の実施に反対する市民らは「ミサイルからは避難できない 日本は平和外交で汗をかけ!」「ミサイル避難訓練は戦争への道」などと書いた横断幕やプラカードを手に、声を挙げた。
那覇市に住む男性(62)は「こういう訓練をすることで危機感を煽られ、戦争に向かっていく雰囲気が助長されるのではないかと心配です。戦争体験者の父と母はもう90代ですが、沖縄戦を振り返って『いつの間にか戦争が始まっていた』と言っていました。那覇市長は地域外交を通して、対話力や平和力を付けることに優先順位を置いてほしいです」と訴えた。