那覇市で住民避難訓練、弾道ミサイル想定し地下へ逃げ込む 周辺で反対行動も

 

被害情報の確認と情報収集 役所で初動訓練

 午後には那覇市役所で初動対処訓練が行われた。

 午後2時過ぎ、サイレンと共に「ミサイルが発射されたものと見られます」というJアラートが放送で流れると、市役所5階の防災危機管理課の職員が窓から離れたり、デスクの下に身を隠したりしてそれぞれの身を守ることを優先しながら、来館者にミサイル飛来を知らせる館内放送を指示した。同時に危機管理対策本部の収集も庁舎内に呼び掛けた。

 午後2時10分、Jアラートでミサイルが破壊されたとの情報が入ると、警察、消防本部、海上保安庁などに市内の被害状況を確認。市民には公式LINEやSNSなど各ツールを使って情報共有を図った。

危機管理対策本部の訓練で集まった市幹部ら=那覇市役所内の議場

 庁舎外から市役所に戻ってきたという設定の知念覚市長が防災危機管理課を訪れると、屋良剛課長が「現時点で被害の情報はありません。午後2時10分にミサイルは破壊されました」と情報を共有した。その後、4階の議場で開いた危機管理対策本部では、知念市長の指示の下、各部が管轄する情報を共有した。

知念市長「訓練は意義があった」

 訓練終了後の講評では、知念市長が「防災危機管理課が国や県との情報のやり取りを確実にしていた点、課長が各職員へ的確な指示を適宜行い、それぞれが役割をしっかりと把握して動いている点が評価できます」とした。ミサイルの飛来について「想定のような事態は決して起こることがないように常に努力をすることが大前提」とした上で、「あらゆる場面を想定して対応に努めてまいりたい」と語った。

訓練終了後、メディアの取材に応じる知念覚那覇市長(中央)ら

 訓練参加者を代表して挨拶した屋良課長は「訓練を通して初動の難しさを感じました。ミサイルは自然災害と違って時間的な余裕がありません。色々な情報が錯綜する中で、市民にどのようにして、確実に情報をつなげていくかを気を付けましたが、まだまだ足りないです。今後も訓練を重ねていかないといけないと思っています」と述べた。

 全ての行程が終了後、メディアの取材に応じた知念市長は、避難訓練に対して反対の声もある中で実施した意義を問われ、「特に沖縄県民、市民は現状に揺れ動いていると思います。ただ、これまで役所内での訓練は従来からありましたが、市民の避難の動きと危機管理対策本部の動きを連動させて、マッチしているのかを確認する必要があるということで実行しました。私は意義があったと思っています」と答えた。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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