沖縄で新種続々 らしさ溢れるネーミング「キジムナー」「チュラバナ」

 
沖縄の川で見つかったキジムナーボウズハゼのオス
(OIST・前田健博士撮影。同大学のプレスリリースより)

 沖縄県内で新種の海洋生物の発見が相次いでいる。琉球大学(沖縄県西原町)も参加する国際研究チームは、琉球列島を含む太平洋および大西洋で発見されたスナギンチャク類3種を9月に、沖縄科学技術大学院大学(OIST、同恩納村)とフィリピンの研究チームは沖縄で発見した新種のハゼ2種を10月にそれぞれ科学誌で発表した。

 いずれの新種も「ベニチュラタマスナギンチャク」「キジムナーボウズハゼ」など沖縄らしさ溢れるネーミングとなっており、生物多様性を誇る沖縄ならではの発見だ。

神出鬼没の“キジムナー”

 学術上「新種」として位置付けるためには、単純に発見するだけではなく、形態やDNAなどから「過去に命名されたどの種とも違う種であること」を確認し、論文を発表しなければならない。

 OISTが発見したハゼの新種は、オスに見られる赤い模様から「キジムナーボウズハゼ」「ブナガヤボウズハゼ」(いずれも和名)と命名された。

沖縄の川で見つかったブナガヤボウズハゼのオス
(OIST・前田健博士撮影。同大学のプレスリリースより)

 「キジムナー」は沖縄では古くから親しまれている妖怪ないし精霊で、赤い姿で描かれることも多い。本島北部の大宜味村では「ブナガヤ」とも呼ばれている。上記の2種はその赤い姿がキジムナーを連想させることから、その名がついた。オスはメスに対して、その特徴的な「キジムナー色」の模様をアピールして求愛行動をする。

 研究チームを率いたOIST海洋生態進化発生生物学ユニットのスタッフサイエンティスト・前田健博士はこの2種について「神出鬼没で、沖縄ではまれにしか出会えません」と同大学HP上でコメントしており、キジムナーやブナガヤの“妖精感”がより際立っている。

美ら海水族館が標本採取「ベニチュラタマスナギンチャク」

(琉球大学HPより)

 琉球大学理学部の喜瀬浩輝博士研究員とジェイムズ・デイビス・ライマー准教授は、新種のスナギンチャク類「ベニチュラタマスナギンチャク」「アミメルリスナギンチャク」「ヒメルリスナギンチャク」(いずれも和名)を発表した。沖縄美ら海水族館、ナチュラリス生物多様性センター(オランダ)、クイーンズランド博物館(オランダ)、ビーゴ大学(スペイン)との研究チームで、琉球列島のみならず、中南米のカリブ海、アフリカ西海岸から3種を発見した。

 中でも「ベニチュラタマスナギンチャク」は、伊江島沖で沖縄美ら海水族館(沖縄県本部町)が採集した標本に基づき記載された。学名は「Churabana kuroshioae」で、Churabanaは沖縄の言葉で「美しい花」、「kuroshioae」は種を採取した「第二黒潮丸」に由来している。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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