宮古島に誘導弾配備 ミサイル部隊体制整う

 

 陸上自衛隊宮古島駐屯地の保良訓練場(弾薬庫)に14日、地対空、地対艦誘導弾(ミサイル)と思われる弾薬が搬入された。弾薬は宮古島駐屯地のミサイル部隊に配備され、同部隊の体制が整った。弾薬は海上自衛隊の輸送艦「しもきた」で輸送され、宮古島の平良港に陸揚げ後、トラックで同訓練場に搬入された。平良港や保良訓練場などには地元住民や市民団体計60~70人が集まり抗議行動を展開した。

誘導弾を積載したとみられるトラック15台が保良訓練場に搬入された=14日、宮古島

 宮古島では2019年3月に陸上自衛隊の警備隊が発足。その後、ミサイル部隊の配備に伴い20年3月には地対艦誘導弾部隊が使用する誘導弾発射台を装備した車両などが搬入されたが、装備される誘導弾は配備されていなかった。

 今年6月には陸上自衛隊の輸送機(ヘリコプター)で弾薬類が空輸されたが、地対空、地対艦誘導弾などではなく、中距離多目的誘導弾や迫撃砲弾などとみられている。今回、地対空、地対艦誘導弾(ミサイル)が搬入されたことで同部隊が作戦を展開できる体制が整った。

 「しもきた」は14日午前7時40分ごろに平良港へ着岸。海自隊員と陸自隊員がともに陸揚げ作業を行った。平良港には、弾薬を積んだトラックを先導するための車両など約20台の車両が待機していた。弾薬を積んだトラック15台は午前8時50分ごろに上陸した。

 弾薬搬入に反対する市民らが座り込みなどの抗議活動を展開したことで、同港を出発したのは午前11時ごろになった。

 弾薬を積んだ車両や先導する車両などで総勢42台は同港を出発後、宮古島の一周道路などを通過して保良訓練場に到着。ゲート前では抗議活動が展開されており、しばらくは待機していたが、午後1時ごろに搬入した。

平良港と保良訓練場では反対派の市民、計約60~70人が搬入反対の声をあげた。最終的に警察が強制排除した=14日、宮古島

玉城知事「配備計画ありきは遺憾」

 玉城デニー知事は14日、宮古島への誘導弾搬入について「今回の搬入に際して自衛隊は、地元宮古島市と協議を行い、事前に情報を共有しながら搬入の準備を進めたものと承知している。引き続き、防衛省には地元の理解と協力が得られるよう丁寧な説明や地元の安心・安全への十分な配慮を求めていきたい」などとする、弾薬搬入に一定の理解を示したともとれるコメントを発表した。

 ただ、15日には記者団に対し「スケジュールありきで配備をするのは反対だというは、多くの住民がそう思っている。そういうことにまるで反するように配備計画ありきで進めていることは、私は遺憾だと思う」と述べたほか、前日のコメントにより弾薬搬入に対する県の容認姿勢が進んだわけではないと強調した。

 一方、陸上幕僚監部は誘導弾搬入について詳細は安全性の観点から回答は差し控えると説明した上で、「宮古島島民の安心安全を守るためにも島内に弾薬を保管することは必要不可欠と考えている。また、早期に体制を確立することは抑止、対処力維持にも必要」と話した。

(記事・写真 宮古毎日新聞)


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