- Home
- 暮らし・教育・子育て
- 東大合格請負人の灘校元教員が沖縄の芸能事務所に所属する理由
東大合格請負人の灘校元教員が沖縄の芸能事務所に所属する理由
- 2021/11/16
- 暮らし・教育・子育て
国内有数の進学校、灘中学校・高等学校(兵庫県)の元英語教員で「夢をかなえる英単語ユメタン」シリーズや「東大英語基礎力マスター」シリーズなど数多くの有名参考書を手掛けている木村達哉さんがこのほど、お笑いを中心とした沖縄の芸能事務所「オリジン・コーポレーション」に入所、同社のホームページですでに紹介されている。「キムタツ」名義の木村さんは業務提携としてタレント部門に所属。なぜ突如として沖縄の芸能事務所での活動を始めたのか。
「『役に立った』と言われるより『おもろい』と言われた方が嬉しいんですよ。その方が記憶に残るでしょ?」と語る木村さんは、これまでと違う分野に飛び込むことについて「“やったことがない”というだけで、やる価値はある」と挑戦する姿勢を崩さない。
■関連リンク
後編:「沖縄の子こそ東大を目指すべき」元灘校教師キムタツさん|HUB沖縄
オリジン代表「文化人のキムタツさんと新しいことを」
芸能事務所オリジン・コーポレーションは1996年に設立され、お笑い芸人や俳優、タレント計50人超が所属している。スリムクラブやキャン×キャンなどが沖縄時代に所属しており、全国区へと羽ばたいた。
昨年度いっぱいで灘校を退職し作家として本腰を入れる木村さん。これまで授業や数多くの講演で培ってきた話術、軽快な語り口、楽しませることを忘れないエンターテイナーとしての気質で、ジュンク堂那覇店で10月に行われたトークイベントは立ち見が出るほどの大盛況ぶりだった。小道具を仕込んだボケも随所に挟んでくる。
同事務所代表で、お笑いコンビ「しんとすけ」の首里のすけさんは、そのトーク力を「冠番組も問題なく持てるほどの腕前です」と話し「『文化人枠』のキムタツさんと僕らが一つになって新しい物が生まれるはずだという期待があります」と可能性を感じている。
実際に、事務所所属の劇団員とキムタツさんが専門学校の先生向けにワークショップを開催する計画も進行中だ。
沖縄の学力向上にも尽力
木村さんは2015年に「NPOおきなわ学びのネットワーク」の理事に就任するなど、かねてから沖縄での教育活動にも精力的に取り組んできた。きっかけは2012年に昭和薬科大学附属高等学校・中学校(沖縄県浦添市)で、さらにその翌年に興南中学校・高等学校で講演をしたことだ。現場教員と話をする中で、全国と比べて沖縄の学力が低いことを知り「何か力になれるはず」と英語教員対象の勉強会を実施した。その後は沖縄県内の高校生を対象に無料セミナーを開くなど、沖縄の学力向上のために尽力している。同様の活動を福島でも行っている。
「『やったことがない』というだけで、やる価値はある」
オリジン・コーポレーションでの今後などについて、木村さんに尋ねた。
―灘中学校・高等学校を退職されたのはどのような理由からですか?
「『灘に合格した子』以外にも話をしていきたいと思ったからです。世界中に子どもたちはいますから。本当はね、コロナがなかったらオーストラリアに行って、自分で描いた絵を道端で売ろうとしてたんですけどね。『これおっちゃん描いたんやけど要らんか?』言うて」