琉球大学生が開発 フードロス削減に貢献「食べられるスプーン」

 

Okaraokaraの知念杏珠さん(左)崎濱花鈴さん=Startup Lab Lagoon(沖縄市)

 おからのフードロスを無くしたいと、学生ベンチャーが立ち上がった。
 琉球大学4年次の知念杏珠さんと崎濱花鈴さんが「Okaraokara(オカラオカラ)」というプロジェクトを立ち上げて、課題解決に取り組んでいる。

 試行錯誤の末に開発したのは「おからのスプーン」。おからから始まる社会起業とは。

なぜおからに着目したのか

 琉球大学の2人が、愛知県にある株式会社勤労食と共に開発したのが、食べられるスプーン「パクーン」。おからパウダーをクッキー生地の中に練り込んで焼き上げた。しっかりとした強度がありながらも、最後は美味しいクッキーとしてパリっと食べられる。

開発したおからを使ったスプーン「パクーン」(本人提供)

  おからは国内で、年に65万トンも廃棄が出ているという。商品の意義を知念さんはこう語る。

「フードロスに直結するだけでなく、その廃棄コストが豆腐製造メーカーの経営を圧迫しているという背景があります。おからのスプーンを商品化することで、経営圧迫、フードロス、プラスチックゴミ問題の3つの負を解消できると考えました」

紆余曲折の商品開発

 近年の健康志向の高まりで、高タンパク低カロリーなヘルシー食材として認知されているおから。しかし一方で、食品各メーカーではおからを使った商品開発がなかなか難しい現状があるという。

「理由は大きく2つあります。1つは豆腐屋さんに余力が無いことです。豆腐の製造で手一杯で副産物であるおからまで手が回っていません。2つ目は傷むのが早いという点です。おからを乾燥させてパウダーにしているのはそういった理由からです」(知念さん)

 このような課題を抱えるおからのスプーンを作るまでには様々な試行錯誤があった。崎濱さんは開発までの苦労をこう話す。

「最初は、自宅のキッチンを使って試作品作りに取り掛かりました。スプーンを作りたかったのに、パンみたいに膨らんで失敗してしまいました」。このように自力でのスプーン作りは困難を極めたため、スプーン以外の商品開発に取り組んだこともあった。「おからでホットケーキを作ろうとしたら膨らみが足りず、オカラパスタを作って茹でてみたら、ただ溶けただけでした」

 リサーチを進める中「食材を練り込んだ食べられるスプーン」を製造している株式会社勤労食に出会う。理念が重なったことから製造を委託し協業を決めた。

「周りからは当初、なぜおからを原料にするのか、なんであなたがやる必要があるのか、などの声がありました。でも商品を実際に作ったことで、目線が学生から取引先として見てくれていることをだんだんと実感しました」(知念さん)

 スプーンのみならず、今後もおからの新たな使い道を模索中だ。

「現在はおから100%のおからミートを作ってタコライスの開発をしており、近いうちレトルト商品の販売を考えています。食べ物だけではなく紙などの製品作りも考案中です」(崎濱さん)

おからミートを使ったタコライス(本人提供)

スプーン1本から始まる持続可能な社会づくり

 2021年12月現在、食育に取り組む教育施設や、環境やサスティナブルへの意識が高い飲食店などから注文を受け、5000本ほど発注があるという。

 今後は、豆腐メーカーを取りまとめた組合を組織することで、おからを永続的に買い取れる仕組みを整備していくという。

「加盟している各メーカーからそれぞれ設備に係る出資を受け、Okaraokaraで商品開発や企画、販売チャネルの拡大を担います。事業化を図り業界全体の利益を高めたいと考えています」(知念さん)

業者からおからを受け取る(本人提供)

 昨年12月に沖縄銀行をはじめとした全国5つの金融機関で共同開催された「X-Tech Innovation」にて協賛企業賞を受賞するなど、周囲からの事業評価も上々だ。

「X-Tech Innovation」にて協賛企業賞を受賞(本人提供)

 SDGsの目標の1つに『2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させる』という項目がある。生活の中でゴミを出さないという意識が、一人ひとりの暮らしに問われている。住みよい未来に想いを馳せる学生2人が、豆腐業界の旗振り役となる日は近い。

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ナガハマ ヒロキ

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ナガハマヒロキ
ラジオパーソナリティ・ライター。
RBCiラジオリポーターとしても沖縄中を駆け回る。
喋り手・書き手として豊富な取材経験を持ち、対象を当事者の視点から捉えた切り口で、紙・WEB問わず幅広いジャンルでの執筆を行う。
琉球大学法文学部 経済学専攻卒。趣味は競馬と大相撲観戦。

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