シンガポールに学ぶ“アジアのダイナミズム”吸収力

 

シンガポールの他にモデルとするべき場所は

―経由地として有利になるには、どういう点が大切だと思いますか。

「例えば北米から東南アジアに物を運ぶ場合、シンガポールは補給や積み荷処理などを効率良くできる環境が整っていることで知られています。英語が公用語になっているので、英語で書類を作れるのも大きいと思います。海外の人にとって日本語で文章を作るのは大変なので、英語で文章を作れる仕組みがあれば、そこにビジネスチャンスは生まれると思います。沖縄は外国人も多く住むので、他の県に比べれば英語が浸透しやすいのかなと思います。海外資本にとって、日本マーケットへ入るために沖縄を経由した方が良い、などの価値を発揮できれば、更にビジネス発展が加速するかと思います」

那覇都市圏

―沖縄がシンガポールの他にモデルとすべき地域はどこだと考えますか。

「沖縄はシンガポールを戦略のトレース材料として活用できるのは良いことだなと思いますので、参考にできるような部分を選んでいけば良いと思います。その他に参考にできそうなのは、ハワイとオーストラリアではないでしょうか。ハワイは一部地域にラグジュアリー観光が楽しめるエリアが集中している一方で、他の大部分は自然が豊かで感性に訴えられる場所が占めます。このように、魅力に専門性を持たせて、一点突破に振り切って特化していくということも策の一つだと思います。また、都市に近いところにあんなにきれいな海があるのは沖縄の大きな財産ではないでしょうか」

「オーストラリアは外国に頼らずとも一国だけで自立できている段階にいると思います。移民を多く受け入れることでも、発展をしてきたと思いますが、現在では移住や移民が非常に難しい国になっているようで、外国資本の力を借りなくてもやっていけるということの現れだと思います。沖縄は、海外資本の誘致も進めつつ、環境保全にももっと力を入れ、島ならではのある種のブランド力を身につけていくことが、更なる発展の糸口になると思います」

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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