シンガポールに学ぶ“アジアのダイナミズム”吸収力
- 2021/3/31
- 経済
まだまだ魅力の日本市場の窓口に
―いずれも沖縄県が力を入れている分野ですね。
「名護市に金融関係の税制優遇制度などがありますが、例えば那覇市では限定的なものになっています。県としてはもっと北部地域の振興につなげたいという狙いもあるかもしれませんが、県全体へ税制優遇制度がいき渡れば、ビジネスの発展にドライブがかかりやすくなると思います」
「シッピングビジネスは、沖縄も強いですが、シンガポールの物流量はすごいんですよ。海に行ったら一面全部タンカーなんです。100とか1000とかのレベルじゃない数の船が順番待ちをしている状況です。ただ、矛盾もありまして、タンカーがいっぱいいると海が汚染されてしまいます。沖縄の海は財産なので、それを目指すのはどうなのだろうかという気はします」
―シンガポールは金融拠点という面でも知られています。
「金融の面で、香港が中国への窓口と言われていますが、シンガポールは東南アジアへの窓口と言われています。外国資本が東南アジアに投資しようと思った時に、シンガポールのファンドを通して投資をした方がやりやすいです。シンガポールはオフショア(税制優遇措置)があるので、投資の際の税金も抑えることができ、有利だと聞きます」
―沖縄が今後、金融特区を目指す上で、どの地域の窓口となれると考えますか。
「個人的には、まずは日本の窓口を目指してもいいと思います。日本は人口が多いので海外から見ると優良なマーケットです。一国で1億2000万人以上いるのは、無視できない市場だと思います。ただ課題があって、まずは日本語しか通じない、ということです。日本に進出したい企業があったとしても、なかなか参入が難しいという面はあると思います。日本独自の法律を遵守していくという点も、海外企業からすると障壁になるでしょう。まだまだ日本製の製品や人件費が高いので、損益分岐点をクリアすることができるのかという懸念も生まれます。(それらの課題に優位性のある)最初の拠点としての役割を沖縄が担うことができればと思います」