県内企業8割が後継者不在 沖縄の事業承継問題(下)

 

 後継者の不在率が80%超える沖縄県内企業。全国的にも問題になっている事業承継について、帝国データバンク沖縄支店の調査と県内企業の経営者の言葉を参考に考える。

◆前回の記事はコチラ

立ちはだかる後継者育成の壁

 帝国データバンクの事業承継に関する意識調査(2020年8月、県内企業144社対象に実施)では、事業承継を行う上で「苦労したこと」と「苦労しそうなこと」について、回答が最も多いのはともに「後継者の育成」だ。
 企業からは主に「後継者にしたい人材が若く、まだ育成に時間がかかる」という意見があったという。前回の記事でも、食品機械業の経営者が「後継者が育っていないため、決めるに決められない」と述べていた。

帝国データバンク沖縄支店「沖縄県 事業承継に関する企業の意識調査」より

 帝国データバンク沖縄支店の水城利治支店長は「経験に基づいた本質的な意味での経営者がきちんと育っていないのが現状で、その出遅れが後継者不在80%超という数字に如実に出ているのでは」と指摘する。

 スタートとして経営者を育成するためのセミナーなどの座学で学ぶことはすぐにできる。しかし他方で、経験や時期に応じて役員や専務・常務などの役職を段階的に経て、経営を実体験するための実践的で中長期的な一連の流れに身を置くことも不可欠だ。
 事業承継には後継者の選定から育成、そして就任に至るまでに10年単位での中長期的なスパンを要するため、経営体力に余裕がない中小企業ほどハードルは高くなる。

 さらに水城支店長は、苦労しそうなことの5位に「従業員の理解」という項目が入ってることに着目する。

「従業員からの理解を得て、周りから経営者として認められるというプロセスも当然欠かせないのですが、沖縄だと全国と比べて“他の人にどう見られているか”という他者からの理解に関して苦労すると感じている傾向が強い。これはある種の地域性なのかもしれない。苦労にもつながると同時に、逆に言えばそれだけ対人関係を重視しているということも言えると思う」

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