オリオンビール「HIGA」デザインのキャンペーンガール新デザイン導入

 
提供写真:新デザインオリオンガール衣装

 白・赤・青カラーのミニスカートワンピースに、夏らしさを感じさせるサンバイザー。「真夏にビーチでビールを飲む姿」が浮かぶオリオンガール衣装は、沖縄県に住む人なら一度は見たことがあるのではないだろうか。

 そんな沖縄県民おなじみと言っても過言ではないオリオンガール衣装が、2020年7月に新デザインを導入した。新たに追加となった衣装はこれまでの明るいイメージから一新、シックで上品なデザインとなり、大幅なイメージチェンジとなった。

 新デザイン衣装の担当デザイナーは、東京コレクション参加経験もある人気ファッションブランド「HIGA」の比嘉 一成(ひが いっせい)氏だ。今回の新デザイン導入には、新しいオリオンビールの世界観を表現する、という意図がある。新たに目指す世界観やデザインのこだわりについてうかがった。

新デザイン導入の目的は「利用シーンの変更」。プレミアムな雰囲気に

提供写真:75BEER

 今回比嘉氏に依頼を決めたのは、オリオンビール株式会社マーケティングコミュニケーション担当・原國 秀年(はらぐに ひでとし)氏。

 新デザイン導入のきっかけは「75BEER」の発売によるものだった。75BEERとは、ビールの街”名護”発祥のオリオンビール初プレミアムクラフトビールとして2019年10月に発売された新商品だ。写真の通りラベルにも味わいにも落ち着きがあり、クラシカルな印象を醸し出している。

 75BEERはその高級感あふれるデザインと味わいから、発売から間もなくラグジュアリーホテル等でも販売されるようになった。そのためbarやラウンジなど、これまでの衣装では軽すぎてふさわしくないシーンが増えているという。

 そこで「ラグジュアリーな空間に自然に溶け込む衣装」を計画し、計画の中で原國氏が一番最初に浮かんだのが、HIGAブランドだったのだ。原國氏に選んだ理由を尋ねると、即座に答えが返ってきた。

原國氏「比嘉さんは東京コレクションにも出るほど洗練されたデザイナーです。しかも沖縄の自然をモチーフにした素材を使っていて、沖縄愛も強い。地元のデザイナーが愛を持って地元の企業の衣装を作ってくれる、こんな嬉しいことはないです」

 原國氏からオファーを受けた比嘉氏も同様に「以前からなにかご一緒できればと思っていたので、依頼をいただいた時はかなり嬉しかったです」と話した。

 双方にとって、相思相愛な形でデザインはスタートした。

サンセットでパーティーを楽しむ姿をイメージ。こだわり抜いた紺と琥珀

提供画像:デザイン色見本

 上の写真は、色が決定した後に比嘉氏が工場と何度かやりとりした色見本だ。よく見ると色の鮮やかさが微妙に違っている。

 衣装デザインにあたり、比嘉氏が一番こだわったのは「色」だった。

 既存の衣装をアレンジする形のデザインだったが、どの衣装をアレンジするかはすぐに決まった。クバの葉でつくられた「クバオージ」という沖縄の民具を羽のようにアレンジした、繊細かつほんのりと沖縄が込められた上品なテキスタイルのデザインだ。

 その素材を全面に使用したボリュームのある袖が特徴のラグジュアリーなドレス。まさに、原國氏の要望ぴったりだった。

もとになったデザイン

 「サンセットの中、ちょっとしたパーティーでお酒をたしなむような場に、オリオンガールが自然と馴染むようなイメージ」原國氏からヒアリングした言葉を頭の中で反復した。比嘉氏は企業デザインの時は必ず、ヒアリングに時間をかける。先ほどのイメージに加え「必ずしも目立たなくていい。あくまで上品な空間に馴染ませたい」「生まれ変わらせたい」「ラグジュアリー」などキーワードを丁寧に拾い集め、考え抜いた色合いを3案提出した。提案したのは赤ベースの色合いのもの、濃紺色のもの、そして今回の紺色×琥珀色の3種類だ。

 3案からひとつに絞られた後は「どの紺をつかうか」にも真剣に向き合った。「75BEERの落ち着きがありつつ、暗くなりすぎない」絶妙なラインを狙うため、工場と何度も色のやりとりを行った。それが前述した色見本だ。

 そうして見事、夏の海辺の夕暮れシーンにぴったりな、大人の雰囲気漂う衣装が完成したのだ。深みのある落ち着いた紺色の背景色に、琥珀色のクバオージ゙柄が施されたモードな雰囲気は、まさに“新生オリオンビール”と呼ぶにふさわしい一着となった。

 また、今回のデザインに合わせて、靴もHIGAブランドをアレンジしたデザインも追加した。衣装はしっかりとした柄が入っているため、靴はシンプルさを重視したそうだ。シンプルながらもヒールのエッジを細く削り、エレガントさを追加した。

提供写真:新デザインの靴

企業デザインのこだわりは「ブランドを出しすぎず、企業の想いを優先する」こと

HIGA2018年春夏コレクション

 今回、企業のデザインを請け負ったのは9社目だという比嘉氏。優良企業やホテル、学校の制服など、様々なジャンルで請け負っているが、時として断ることもあるそうだ。

比嘉氏「要望に応えられないと思ったら、お断りすることもあります。だけど受けるときは、依頼をくださった方の期待を超えるデザインを心がけています」

 比嘉氏は、企業依頼の際は”HIGA感”をあまり出さないようにしているそうだ。自分のブランドの製品は世界観を100%出すが、デザインに携わる時点で自然と自分のスパイスは効いてるので、企業依頼のときは企業の想いを優先したいのだという。

比嘉氏「数あるデザイナーがいる中で、それでも僕にお願いしたいと言って下さるクライアントには必ず”想い”があります。僕は、その想いを最優先に考えたいんです」

 今回比嘉氏は利用シーンを想定し、元々の魅力も残しながらも、新しい価値を創出する

 デザインを心がけた。何度も75BEERのパッケージデザインやシチュエーションを思い浮かべながら、微調整を繰り返したそうだ。

 比嘉氏は「服を愛しているけれど、服はツールのひとつ」という考えも併せ持っている。「僕は医者じゃないので、体を良くすることはできないけれど、洋服で気分をあげることはできます。洋服を通して、人の人生を少し豊かにするお手伝いができれば嬉しいです」という言葉が印象的だった。

 ブランドイメージと直結するオリオンガール衣装。今月の「オキナワグラフ」で初のお披露目がされている。今後イベント等で衣装を見た人がどんな感想を抱くのか、とても楽しみである。

◎HIGA公式ページはこちら
http://higa.jp/

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三好 優実

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香川県出身・沖縄移住歴6年目のフリーランス編集者・ライター。主に沖縄県内の観光・グルメ・経済について執筆。シリーズ本「香川県あるある」の著者。

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