「よりダイナミックな視点を」 沖縄経済同友会が次期振計に提言

 

自立経済の確立は「待ったなし」

 パネルディスカッションには、同友会の川上康代表幹事(琉球銀行 代表取締役頭取)、東良和副代表幹事(沖縄ツーリスト 代表取締役会長)、花牟礼真一提言PT(かねひで総合研究所 代表取締役理事長)が登壇したほか、東京の経済同友会から伊達美和子氏(森トラスト 代表取締役社長)がオンラインで参加した。

 伊達氏は首都圏企業からみた沖縄のポテンシャルについて、①特区制度に代表されるデジタルフレンドリーな素地があること、②自然と固有の文化がある観光のアドバンテージ 、③アジア圏20億人をマーケットの舞台にできる地理的優位性の3点を挙げた上で、次期振計についても提言した。

「自立経済の確立は待ったなしの状況。コロナの影響もあり、産業全体のデジタル化を進めないと生き残れない。現在は全国どの都道府県も同じスタートラインに立っている。この中でどう強みを発揮していくか。アフターコロナでも観光とITは必ず残るので、そこの深堀をさらにしていくことが重要になってくる。
 また、観光の価値の再定義もしていくことが必要だと考えている。インバウンドでも日本需要は高く、今後の成長可能性はまだまだある。しかし、オーバーツーリズムの問題もあり、経済効果を感じていない県民が多いという現状にも解決を見出していかなければならない」

 沖縄の観光産業の“未来予想図”を問われた東氏は、コロナ禍で「大変厳しい状況が続く」としながらも、イギリスで夏のバカンスの予約が殺到している現状に言及しながら、
「観光産業の弾力性、そして復活の見込みは十分にある」と話した。
「今年の11月ごろには県内のホテルやバスの予約が全く取れなくなると予測しているところだ。こうしたことを踏まえて、次期沖振で何ができるかという視点で考えなければならない」

 同友会が考案した「リゾート」と「テクノロジー」を融合した“沖縄発”の造語「リゾテック」のコンセプトについては花牟礼氏が説明。「ツーリズムテック」や「トラベルテック」といった一般的なワードに対し、「リゾートに関するテクノロジーは今後沖縄がナンバーワンになれるかもしれない可能性を秘めている。そこに観光産業をITで支えることで他産業への波及効果も期待できることも込めている。この概念を基調にしたエコシステムの実現に取り組みたい」とした。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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