「2月がハイシーズン」阪神キャンプの宜野座村 無観客への秘策とは

 

宜野座の食の集大成 ピンチをチャンスに

 そんな、離れていても宜野座村を感じることのできる取り組みを、地元の飲食店「炭焼家てんぷす」が始めている。村内の8事業所とタイアップした村の物産品をぎゅっと集めた「ぎのざんまい阪神応援セット」の通販だ。車海老、紅豚、やんばる島豚、ソフトクリーム、純黒糖スコーン、果実ジャム、てびち(豚足)唐揚げ、親鳥のイエローカレーに、宜野座キャンプ限定の阪神タイガースタオルがひとまとめになり、全国どこでも宜野座の味を楽しむことができる。(https://ecsp.tsuku2.jp/viewCatalogStore.php?scd=0000125429

 同店を経営する合同会社てんぷすの“家主”金城善彦さんは、阪神キャンプでの屋台出店を10年以上やってきたという。だからこそ、村内の他の店舗が受けたであろう影響も痛いほど分かる。

 金城さんが通販事業に着手したきっかけは、昨年5月に遡ることとなる。阪神百貨店での沖縄物産展が中止となり、金城さんの元には唐揚げの材料となる約5000個、豚約300頭分ものチマグー(豚足の一部)が在庫として残ってしまった。「チマグー事件」と呼ぶほど衝撃的な出来事だった。どうにかして売り切らなければ。

 幸いにもてんぷすはSNSを普段から活用しており、関西の阪神ファンも含む5000人ほどと普段からつながりがあった。挑戦してみた初めての通販サイトは好調で、県内外で無事に完売できた。通販のノウハウを手にした瞬間だった。「あ、これは行けるな、と確信が持てました」と金城さん。潜在的な顧客は、村から全国へと広がった。

「ぎのざんまい阪神応援セット」を並べる金城さん

 とはいえさすがに、コロナ禍が翌年2月まで食い込んで阪神キャンプが無観客になるなど、昨年夏の時点では思ってもいなかった。その通販ノウハウを、今度はピンチに直面した同業者に還元して共に歩む。協力してくれた店舗の提供商品は、その都度金城さん自ら先払いで買い取って不安を取り除いた徹底ぶりだ。

 「一緒に手掛けるメンバーには『常に上だけ向いておいてよ』と言い聞かせています。コロナをしのぐために売っているのではなくて、今回の『ぎのざんまい』をきっかけに、お店や商品を知ってもらえたら、来年以降にまた全国から宜野座にお客さんが集まります。それが本当の目的です。コロナ禍を団結力に変えて、点と点をつなぎ、大きな面で攻めていきたいです」

 販売目標は300セット。宜野座から全国へ。食の宜野座旋風を巻き起こす。

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長濱 良起

長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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