音と間合いの歌舞伎演出「附け打ち」 沖縄で初のワークショップ

 

 附け打ちは「附け木」と「附け板」を打ち付けて音を出す。手に持つ附け木は、長さが約30cm前後(7~8寸)、幅約6cm(1.5寸)、そして高さが約4.5cm(1.2寸)で、材質となる木には主に樫を用いる。音色を変えたい時には別の木材を使う時もあるという。附け木で叩く附け板は、特に大きさに決まりはないが、附け打ちの肩幅以上の大きさがなければならない。附け板も厚さや材質、木の乾燥の度合いで音色が変わる。

「1音に思いをのせて打つ」

 概要や歴史を説明した後は、基本的な打ち方を山崎さんが指南し、歌舞伎音楽や、役者の所作に合わせて、参加者全員で附け打ちを実践。役者が独特のポーズをとる「見得」に合わせた音、さらに登場人物が走る様子を表現する「駆け出し」の音などに挑戦した。参加者たちは、映像の場面の間合いが読み取れなかったり、思い通りの音量やスピードが表現できなかったりで四苦八苦しながら挑戦した。

 沖縄芝居での演出との違いについては、参加した沖縄芝居の役者・高宮城実人さんと議論した。沖縄芝居ではもともと附けは使われていなかったが、明治29年ごろに沖縄を訪れた旅周りの劇団の影響でやり始めたことや、沖縄では附け板を使わずに地舞台を直接打つことなどが話題に出て、山崎さんも興味深そうに話を交わした。

 指導を終えた山﨑さんは「附け打ちはいかに効果的に音を少なく打つか、そして良い間合いを常に探求するかが重要。そして1音1音に思いをのせて打つことが大事だ」と強調。最後に「次から歌舞伎を見る時には、是非とも附けの音を気にして欲しい」と話した。

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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