音と間合いの歌舞伎演出「附け打ち」 沖縄で初のワークショップ
- 2021/1/30
- エンタメ・スポーツ
「バタバタバタ、バッタリ」
場の空気を切り裂くような、鋭く硬質な響き。歌舞伎芝居や舞踊で、演出効果として用いられる「附け(ツケ)」の音だ。物語の重要な場面や、登場人物の動作を音で強調させることで、歌舞伎独特の型を印象付ける重要な役割を担う。
1月25、26両日に、歌舞伎附け打ちを専門職にする山﨑徹さんを招いたワークショップが那覇市内で開かれた。山﨑さんは国内・海外での大歌舞伎公演を中心に、2019年の新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」でも附け打ちを務め、舞台の最前線で活躍している。沖縄での附け打ちワークショップは初めてという。
附けは沖縄芝居でも使われているということで、25日は沖縄芝居関係者が参加。歌舞伎と沖縄芝居との違いも議論しつつ、実践も交えながら山崎さんから技を学んだ。
音色を打ち分け、役と動作を表現
「附け打ちは音と間合いの勝負です」
山﨑さんは真っ先にこう述べた。続けて、附け打ちには大きな3つの役割として①印象付けのための強調、②メリハリをつけるための役の分別、そして③役者が出てくることを知らせること、と説明した。
「音の強弱やスピードを打ち分けて、出てくるそれぞれの役や行為を表現します。熟練してくると自然と音色も変わってくるんです」
歌舞伎は庶民の文化である「村芝居」から現在の形に発展した。その中で附け打ちは、もともとは龍や鬼など異形のものが登場する際の演出として音を出したのが始まりという。それが人形浄瑠璃で人形の演技を引き立てる効果音として使われるようになり、引いては人が演ずる歌舞伎の舞台でも演出として機能するようになった。