【復帰50年】1人の女性を通して描く沖縄戦後史 公演『島口説』 6日から

 
舞台『島口説』のワンシーン(ACO沖縄提供・以下同)

 沖縄を拠点に演劇やフェスティバルの舞台企画・制作を手掛ける「エーシーオー沖縄」(ACO沖縄)は、5月6~8日の3日間にわたって戦後沖縄を舞台にした舞台公演『島口説(しまくどぅち)』を那覇市安里の「ひめゆりピースホール」で上演する。沖縄本土復帰50年企画に位置づける本作の上映について、ACO沖縄代表の下山久さんは「戦中・戦後の沖縄のあり方を芝居を通して伝えることで、復帰から今に至るまで引きずって直面している様々な沖縄の問題について考えることができるきっかけになると思います」と語る。

沖縄女性のたくましさ、したたかさを表現

 今回上演される『島口説』は米軍基地の街にある酒場を舞台に、戦争や米軍の土地接収、コザ騒動などの苦難の沖縄戦後史を1人の女性の反省から浮かび上がらせる。脚本は謝名元慶福さん、演出は藤井ごうさんが手掛けており、出演は「泉&やよい」の城間やよいさんと知花小百合さん。2018年に初演を迎えた作品だ。

 「口説(くどぅち)」は、もともと歌舞伎や浄瑠璃などで情景や叙事、悲哀などを一定の旋律で繰り返し“説く”「口説(くどき)」だったとされ、歌の1つの形式だ。この「説く」という意味のニュアンスを汲みつつ、「島口説」の意味する所は「島の歌」だという。

 下山さんは復帰を果たして50年を迎えようとしている現在の沖縄の状況を「アメリカ、そして日本に搾取されてしまうという大きな構図は基本的に変わっていません」と見る。それを踏まえて「復帰で全てが解決したわけではないし、ただ単に『めでたい』というわけでもないと思うんです」と疑問を投げかける。

 ただ、演劇作品を通してそうした現状を「告発するということではないんです」。時代のうねりに翻弄される沖縄という地の歴史の中で「1人の人間として、島の人間として、一生懸命に生きた沖縄の女性のたくましさや、明るく前を向いて辛苦を乗り越えるしたたかな姿を見てほしい」と強調した。

「戦後とは何だったのか」

 『島口説』は昨年にも沖縄と東京で上演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で全ての公演が中止になった経緯もあり、今回の上演には演者・スタッフともに“リベンジ”の意味も含めて並々ならぬ気合が入っている。

「今、ウクライナ侵攻のニュースが駆け巡っていることもあり、戦後とは何だったのか、人類は歴史に何を学んできたのかということを考える時期でもあると思うんです。だからこそその中で生きることの輝き、生命力みたいなエネルギーを作品から感じてもらいたい」(下山さん)

 5月13日からは東京での公演も予定している。沖縄戦のことを知らない東京の若い世代にも伝えることを念頭に、ウチナーグチの部分は意味を取りやすいようにリフレインするなど、演出にも工夫をこらしているという。

 ACOでは復帰50年企画として6月から来年3月まで、多彩な作品を上演予定だ。下山さんは「沖縄とは、復帰とは何かをさまざまな角度から考えるプログラムが並んでいるので、是非ご覧頂きたい」と話し、来場を呼びかけた。沖縄・東京公演の詳細はACO沖縄のWEBサイトで確認できる。

■関連リンク
沖縄本土復帰50年企画 『島口説(しまくどぅち)』(ACO沖縄WEBサイト内)
【戦後76年 慰霊の日】「舞台と一緒に生きる」演劇で伝える沖縄戦 ∥ HUB沖縄

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真栄城 潤一

投稿者記事一覧

1985年生まれ、那覇市出身。
元新聞記者、その前はバンドマン(ドラマー)。映画、音楽、文学、それらをひっくるめたアート、さらにそれらをひっくるめた文化を敬い畏れ、そして愛す。あらゆる分野のクリエイティブな人たちの活動や言葉を発信し、つながりを生み、沖縄の未来に貢献したい、と目論む。

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