キングスがBリーグ最多観客数を更新 東西頂上決戦を92ー84で制す 

 
ドライブからの得点や高い身体能力を生かしたスティールで勝利に貢献したコー・フリッピン=4月4日、沖縄アリーナ(提供:照屋勇人(OUTNUMBER))

 沖縄アリーナを舞台とした東西頂上決戦は、キングスに軍配が上がった。

 プロバスケットボールBリーグ1部西地区の琉球ゴールデンキングスは4日、東地区1位で昨季王者の千葉ジェッツと対戦。1度しかリードを許すことなく、92ー84で勝利した。2連勝となり、通算成績は48勝6敗。アレン・ダーラムはコンディション調整のため欠場した。

 5月12日に開幕するチャンピオンシップ(CS)を前に仮想ファイナルとも言える一戦は注目度が高く、コロナ禍による収容制限が無い状態で、初めて沖縄アリーナのチケットが完売。球団が主管する試合としてはリーグ過去最多となる8,263人の観客が詰め掛けた。これまでの最多記録は7,327人だった。

1年目は観客数3桁の試合も 積み上げた歴史

 バスケチャンネル「バスケットライブ」で試合の解説を務めた元キングス主将の与那嶺翼さんは試合終了後、「ここに至るまでに琉球の歴史がある」と観客数について言及。「(bjリーグ参戦)1年目は三桁の動員数から始まり、ここまで観客数が伸びた。球団に多くの人が携わったからこそ、この風景が見られたと思います」と感慨深けに語った。

 「鳥肌でしたね」と興奮気味に振り返ったのは桶谷大HC。「よりプレッシャーを感じて、勝たせないといけないという気持ちと、冷静にやらないとという気持ちがあって。興奮を抑えるのに必死でした。ホームで8千人ていう時代が日本にもきたんだなって。子どもや孫に自慢できるなと思いました」

指先までボールに掛かった綺麗なフォームで外角からシュートを放つ今村佳太(提供:照屋勇人(OUTNUMBER))

 スリーポイント3本を含め16得点を挙げた今村佳太も「8千人となるとよりホーム感がある」と嬉しそう。「相手に掛かる圧がまるで違う」と観客の応援に感謝した。

「ファーストパンチ」に成功 天皇杯のリベンジ

 「序盤にファーストパンチを打てるかどうかがポイントだった」

 そう振り返る桶谷HCの脳裏にあったのは、今季これまで千葉と唯一の対戦だった2月の天皇杯準決勝だ。第1Qに10点差を付けられ、終盤の猛追も及ばず5点差で逃げ切られた。 

 指揮官の方針を体現した選手たち。試合開始から強度の高い守備で流れをつくり、コー・フリッピンの積極的なドライブやミドルシュートなどで9ー0のランをみせた。普段ベンチを温める時間の長い満原優樹や特別指定選手の松本礼太を加えたメンバーでは点差を詰められる場面もあったが、ジャック・クーリーがリバウンドで存在感を発揮し、45ー32で折り返した。

自慢のアフロヘアーをなびかせ、得点を量産したドウェイン・エバンス(提供:照屋勇人(OUTNUMBER))

 第3Qはドウェイン・エバンスが攻撃で爆発し、最大25点にリードを広げる。さすがの千葉もピックアンドロールやスムーズなパス回しでフリーをつくり、得点を重ねられて試合時間残り3分を切って5点差まで詰め寄られた。しかし、最後もエバンスが着実にゴールを決めて逃げ切った。

 最終的に、スリーポイント4本を含むチームトップの30得点を挙げたエバンスは、ダーラムが不在だったことを念頭に「層の厚いチームだということを見せることができた。強敵に対して勝てることを証明することができてよかった」と淡々と振り返った。

「難しい試合だった」と語ったのは指揮官。「(CSの)第1シードを決めてるけど、8200人が入っていいバスケをしないといけない。負けたままCSに行くのもよくないし、天皇杯の借りもある」。消化試合でコンディションの悪化は防ぎたいが、様々な要素が絡んだ一戦だった。それを踏まえて「常に冷静にボールを回し、トランジションで簡単にやられない。リバウンドもしっかりとる。素晴らしいプレーを見せてくれた」と選手を高く評価した。

本当の勝負はCSで

 両軍とも地区首位のチームらしく個のスキルや連携の完成度が高く、ハイレベルなプレーの応酬ではあったが、CSに向けてコンディションを整える時期でもあり、どちらも”フルパワー”での試合内容ではなかった。

 キングスは出場した全選手のプレー時間を30分未満にとどめ、千葉も守備やリバウンドでの強度を抑えている印象だった。試合後、最近負傷者が続出していることについて問われた千葉の富樫勇樹主将は「今は無理をさせることはない。CSに万全の状態で臨めればいい。ただ、なんとしても東の1位は取りたいので、その責任は果たしたい」と話した。

 地区優勝マジック2の千葉とは、現状でCSのファイナルで当たる可能性がある。

 キングスは昨季、沖縄アリーナであったCS準決勝で千葉と対戦し、死闘の末に1勝2敗で敗れてシーズンを終えた。在籍2季目のエバンスは「今季は多くの選手が負傷しながら、タフな試合も乗り越えて自信を付けてきた。去年のような悔しい思いをしないように戦っていきたい」と球団初の優勝を見据える。

CS初戦の相手 三河、渋谷、秋田に可能性

 レギュラーシーズンは7、8の両日にある広島とのホーム戦を残すのみとなった。ただ13日に初戦を迎えるCS準々決勝の相手は、依然として決まっていない。

 東西両地区の3位以上に加え、残り全16チームのうち勝率が高い上位2チーム(ワイルドカード)の計8チームがトーナメント方式で年間王者を競うCS。西地区1位のキングスは準々決勝でワイルドカード下位のチームと対戦するが、三河、渋谷、秋田の3チームが今もこの枠を激しく争っている。

4月3日付けでキングスがホームページに掲載した3チームの勝率シミュレーション。三河と渋谷は4日の試合に勝利にしたため、「3敗」のケースはなくなった

 4日に試合のあった三河と渋谷はいずれも勝利し、5日時点の各チームの勝率は上位から順に三河が5割8分8厘、渋谷が5割7分9厘、秋田が5割5分8厘。

 三河、渋谷のいずれかがあと1勝するか、秋田が1敗でもすれば秋田のCS進出は消滅する。ただレギュラーシーズンの最終節となる今週末の連戦カードを見ると、三河は東2位の川崎、渋谷は東1位の千葉と強豪とぶつかるのに対し、秋田は西最下位である11位の三遠と対戦する。

 川崎、千葉も準決勝までをホームで戦う権利を得る東地区の首位争いを今も繰り広げており、両チームにとっても最終節の意味合いは大きい。3チームによるCS最後のイスを懸けた戦いの行方はまだまだ予想が難しい。

 東京五輪日本代表のシェーファーアヴィ幸樹や得点力の高いダバンテ・ガードナーを擁する三河は、今季6敗しかしていないキングスに土を付けたチームの1つ。渋谷は元キングスHCの伊佐勉氏が率い、沖縄アリーナで行われるCSで盟友桶谷HCと相対する姿はファンを唸らせることは間違いない。秋田はキングスと同じく堅守を武器とするチームで、激しいシリーズになるだろう。

 どのチームが相手になっても、アリーナに足を運ぶ価値は十分にある。

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