2年連続で“全国3位” キングスU18「悔しさ」胸にエリート8でリベンジなるか

 
平良南海輝(右手前)が右コーナーから3Pを沈め、喜びを爆発させるキングスU18のベンチ=3日、栃木県の日環アリーナ栃木(長嶺真輝撮影)

 プロバスケットボールBリーグU18(高校生カテゴリー)の35チームがトーナメント形式で王者を決める「U18チャンピオンシップ」が11月30日~12月3日、栃木県の日環アリーナ栃木で行われ、琉球ゴールデンキングスU18が2年連続で3位に入った。エースの宜保隼弥は大会ベスト5に選ばれた。

3位決定戦、与那嶺HC「チーム全員で勝利した」

大会ベスト5に選ばれた宜保隼弥

 最終日に行った3位決定戦では、仙台89ERSU18と対戦し、93ー66で快勝した。

 前日に2試合を行ったこともあり、序盤は動きが重く、シュート精度が上がらず第1Qは22ー18で接戦となった。しかし、持ち味である強度の高いディフェンスからの速攻やスリーポイントシュート(3P)が徐々に増え、42ー32とリードを広げて前半を折り返した。

 後半も平良南海輝や宜保らが高確率で3Pを沈めたほか、新垣龍太郎と佐取龍之介がインサイドで体を張り続け、さらに差を広げて勝ち切った。

キングスU18を率いる与那嶺翼HC

 与那嶺翼HCは「自分たちのバスケットを貫き通すため、アドバンテージをいかに作るかが重要だったので、ポストの佐取にボールを入れながらインサイドアウトを展開しました。強度の高いディフェンスからファストブレイクに持っていくスタイルも出せました。先発は少し体が重かったので、セカンドユニットも本当に頑張ってくれた。チーム全員で勝利した試合でした」と満足そうに振り返った。

準決勝で名古屋Dに劇的“逆転負け”

 キングスU18は今大会で5試合を戦ったが、3回戦の富山グラウジーズU18戦では16点ビハインドを跳ね返して逆転勝ちを果たすなど、様々な展開の試合を経験した。特に印象強かったのが、準決勝の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(名古屋D)U18戦だ。

 この大会で3年連続準優勝に輝いた強豪を相手に、序盤でリードしたのはキングスU18だった。しかし、すぐに逆転されると、第2Qにはこの試合最大の14点リードを奪われた。それでも後半に入ると宜保が爆発し、再逆転。激しいディフェンスと粘り強いオフェンスリバウンドも随所で見られ、第4Q残り約2分の時点で9点のリードを保っていた。

 しかし、そこから相手に難しい体勢の3Pを決められたり、ミスからの速攻で得点を重ねられ、一気に点差を詰められた。1点リードの状況で最後のポゼッションは相手ボール。3Pは外れたが、オフェンリバウンドを取られてゴール下シュートをねじ込まれ、試合時間残り4秒の土壇場で逆転されて敗れた。

持ち味の激しいディフェンスに加え、オフェンスでも活躍した上原颯太

 今大会を通して活躍が光った上原颯太は「悔し過ぎて泣きました」と振り返る。試合後にはホテルの大浴場にメンバーみんなで入り、風呂に浸かりながら「お前ここが良かったよ」「次に切り替えよう」というポジティブな話をして前を向けるように努めたという。ただ「眠るとじわじわ汗が出てきて、悔しさを思い出して眠れなかった」。翌朝も疲れが残り、3位決定戦は序盤に体の重さを感じた。それでも「試合が進むと徐々に切り替えができていったので、それは良かったです」と振り返った。

 その上で「昨日負けて、精神的に難しいまま今日を迎えましたが、カムバックしてしっかり勝てたのは良かったです。3位という結果は納得いってないし、決勝の舞台で試合をしたかった気持ちが大きいですが、個人としてもオフェンス能力が伸びて成長を実感できる大会になりました」と手応えを語った。

12月に強豪と対戦続く 経験を生かせるか

試合前、コート中央で円陣を組むキングスU18のメンバー

 キングスU18は現在、地域リーグを勝ち抜いた8チームがリーグ戦で頂点を競う「エリート8」を戦っており、2勝1敗で上位を争っている。キングスU18は12月中に名古屋DU18や、チャンピオンシップで3連覇を飾ったレバンガ北海道U18などと対戦する。

 エリート8に向け、宜保が意気込みを語った。

 「今大会は名古屋Dに負けましたが、エリート8でも当たるので、リベンジを果たしたいです。3日間で北海道や渋谷、名古屋Dと戦うタフなスケジュールも控えてるので、そこでいかにチーム一丸となって頑張れるかが勝利の鍵になると思う。みんなで共通意識を持って頑張っていきたいです」

 ディフェンスやリバウンドなどチーム全体の強みに加え、個々のスキル、強度も増してきている一方で、終盤の試合運びやディフェンスの細かいコミュニケーションなど課題も見えたチャンピオンシップ。貴重な経験を糧に、エリート8で今度こそタイトルを掴み取ることができるか。注目だ。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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